日中省エネルギー・環境ビジネス推進協議会は、日中間のエネルギー・環境分野における協力関係の強化を目指しています。

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深まる日中省エネ・環境ビジネスの

   
深まる日中省エネ・環境ビジネスの可能性
~重慶市~【日経協ジャーナルより】
 
 今年4 月、麻生総理大臣訪中時に「日中環境・省エネ総合協力プラン」が提起された。
 そこでは対中環境・省エネ協力の積極的な地方展開を目的として、重点分野である水、大気等の環境汚染対策、廃棄物対策、3R、コベネフィット・アプローチおよび石炭に係る取り組みを集中的に実施し、「第4 回省エネルギー・環境総合フォーラム」の地方展開、地方政府との対話や地方企業とのビジネスマッチングの実施が謳われた。また、6 月の第2回日中ハイレベル経済対話でも、中国の地方における省エネ・環境協力の積極的展開をより重視する方向性が示された。
 こうした中、2009 年5 月13 日から16 日まで重慶市で「第12 回中国(重慶)国際投資及びグローバル調達フェア」が開催され、その一環として「重慶市環境保護産業国際協力プロジェクト推奨商談会」が開かれた。
本稿では、その中から重慶市の省エネ・環境保護産業の概況とニーズを取りまとめ、日中間の省エネ・環境ビジネスの可能性をレポートする。
 
重慶市の省エネ・環境対策の現状と計画
 
重慶市は面積8万2400 平方キロ、人口約3200 万人(07年現在)、長江上流域最大の工業都市であり、長江の水運を利用した水陸交通の要衝である。1997 年に北京、上海、天津に続き、4番目の直轄市に昇格、19区、21県(自治県)からなる。
重慶市のGRP に占める最大の産業は38%を占める鉱工業で、主力産業としては機械・輸送機器産業(自動車、オートバイ)、鉄鋼など冶金工業、軽工業、医薬工業などがある。現在、改革開放政策後の各種消費財の急速な需要拡大に対し、老朽化設備での生産により生じた深刻な環境汚染を改善するために、様々な取り組みが行われている。
その一つとして、「四大行動」の推進が挙げられる。
09年の「四大行動」の具体的な目標は、以下のとおり。
①「藍天行動」…オンラインモニタリングシステム設置等による大気汚染の抑制、09年の大気優良日数297 日を到達
②「碧水行動」…09年の汚水集中処理率76%、ごみ無害化処理率85%を達成、飲用水源と三峡ダム区の水質保全の推進
③「緑地行動」…09年の全市森林覆蓋率35%に向上
④「寧静行動」…環境騒音の平均値56デシベル以下、道路交通騒音の平均値68デシベル以下をそれぞれ達成
重慶市において特に重要視されているのが「水」である。重慶市環境保護産業協会の饒思源氏によると、重慶市の廃水・汚水の総排出量は年間14億5000 万トンで、主に①機械工業廃水、②冶金廃水、③化学工業医薬廃水、④都市生活排水の4つに分類できる。総排出量の内訳は、前記①~③の工業廃水系が8億5000 万トン、④の生活排水系が6億トンで、双方とも最終処理後に長江へ放流される。このため、三峡ダム区を含めた長江の水質環境保全には、汚水管・排水管網の整備とともに、汚水・排水処理施設の処理能力の改善・向上が不可欠である。
重慶市では、都市生活排水の処理方式は主に生化学処理で処理率75%、無機類工業廃水の処理方式は主に物理化学処理で処理率95%、有機類工業廃水の処理方式は主に物理化学処理と生化学処理が用いられている。2010年までに、三峡ダムおよび上流主要断面の水質を基本的にⅡ類基準に引き上げ、現在26万9000 トンのCOD排出量を23 万9000 トンに抑制することを目標に掲げている。
河川の汚染環境対策の具体的方法としては、流域の汚水処理施設・ごみ処理施設の改修、川底の浚渫・汚泥処理、川岸の生態環境整備、農業汚染の処理が挙げられる。また、水環境汚染処理計画では、2010 年までに新たに建設・改造する都市汚水処理プロジェクトと規模は表1のとおりで、総計画投資額は92億2300 万元を予定している。さらに、重慶市の「碧水行動」実施案によると、2012 年までに飲用水源確保、都市生活汚染対策、工業汚染防止、農村汚染防止、船舶汚染防止、2級河川流域汚染総合対策など設備・施設の新設・改修等に関する6大プロジェクトの推進を強化し、その総投資額は163 億8000 万元に達する。ちなみに、表2は当商談会で紹介された「2009 年重慶市重点環境保護プロジェクト主要リスト」で、これからも、重慶市での環境保護産業の重点が、汚水処理や廃棄物処理などを通じた水環境の保護・改善にあることがわかる。
 
 
国家環境保護産業発展基地として
 
重慶市では、「四大行動」の推進とともに法規制の厳格化、先進的機械設備の導入および環境保護関連企業の集約・発展により環境改善施策を進めている。
現在重慶市内には「四大行動」を推進する担い手となる環境保護産業関連企業が約1000 社あるといわれる。重慶市は00年に国家環境保護総局が批准した「国家環境保護産業発展基地」5都市(ほかに武漢、瀋陽、江蘇省宜興・常州)の1つであり、07年の環境保護産業の規模は約150 億元となり、主に次の4分野があげられる。
①環境保護設計およびプロジェクト総合請負サービス業(環境プロジェクトを含む)…約30億元/年
②環境保護製品生産企業…約15億元/年
③資源総合利用および再生資源回収企業…約80億元/年 
④グリーン・エコ製品企業(天然ガス車技術・製品企業を含む)…約25億元/年
 今年5月の重慶市環境保護産業国際協力プロジェクト推奨商談会には主な環境保護関連企業が参加した(表3)。
このほか、重慶市には、自動車排ガス抑制製品製造、天然ガス車主要技術開発および製品製造、環境分析計器製造、ごみ収集・埋立・運搬、ごみ中継基地設備製造、生活ごみ処理、土壌回復、都市汚水処理場建設・運営、汚泥処理設備製造および粉塵除去設備製造等の優良企業があるという。 
 
環境産業パートナーの可能性
 
重慶市環境保護局張勇副局長によると、重慶市の環境保護企業は、廃棄物処理と利用、排煙中の重金属除去、畜産養殖業における水質汚染防止、メッキ汚泥や金属廃液中の重金属除去、電子廃棄物の分解・分離、土壌河川の生態回復、環境保護設備機器製造、二酸化炭素回収等の分野での技術協力を模索しているという。
重慶市の省エネ・環境分野における国際協力は、すでに欧米各国の進出が顕著で、「第12回中国(重慶)国際投資及びグローバル調達フェア」の開幕式壇上からもその現実をみることができた。しかし、「世界各国による独資企業の設立、技術移転や合弁企業の設立、省エネ・環境関連製品販売やアフターサービスセンターの設立を歓迎する」という重慶市のスタンスが今後も続くことから、日本企業の優れた省エネ・環境技術には多くの事業参入のポテンシャルがあると思われる。
当協会としては、一つでも多くの日中企業間のビジネスベースでの省エネ・環境協力プロジェクトが結実できるよう、より多くの情報発信に努めていきたい。
 
表1 2010 年までに新設・改修する河川汚染対策プロジェクトと規模 
   
番号 プロジェクト名称 規模等
1 汚水処理プロジェクト 13箇所(汚泥処理センター3箇所を含む)
処理能力:112.8万トン/日
重点鎮汚水処理施設:74箇所
予算:29.14億元
2 ごみ処理 予算:14.49億元
3工業汚染処理86プロジェクト
予算:20.5億元
4次級河川流域整備19プロジェクト
予算:14.08億元
5船舶汚染処理予算:10.1億元
6 水環境モニタリング施設 予算:3.88億元
総投資予算額92.23億元
   
(出所)「中国重慶市国際投資・グローバル調達フェア」および「環境保護産業に関する
国際協力プロジェクトプロモーションフェア」ホームページおよび当日配布資料
 
表2 2009 年重慶市重点環境保護プロジェクト主要リスト 
   
番号 プロジェクト名称 事業主 建設規模
1 唐家沱汚水処理場三期工程 市水務資産経営有限公司 汚水処理能力を1日10万㎥に増強
2南岸茶園新城区汚水処理場工程 市水利投資(集団)有限公司 新規に下水処理場を一か所建設し、2012年には生活廃水処理能力を1日3万㎥、2020年には生活廃水処理能力は1日6万㎥に増強。処理場と一体化した1、2級の排水管網32.57kmを新たに建設。
3鶏冠石汚水処理場三期工程 重慶鶏冠石汚水処理項目管理有限公司 建設規模は乾季1日20万トン、雨季1日30万トンの処理。
新たに汚泥処理膜、沈砂池、バイオ処理池、第2沈殿池および汚泥濃縮脱水機等
4 北部新区(九曲河)汚水処理場 市水務資産経営有限公司 1日15万㎥の下水処理場および排水管網
5桃花河環境総合整備 重慶長寿開発投資(集団)有限公司 流域河川の浚渫、護岸整備、流域沿岸にある埋立ごみ処理場を含む汚水処理場4箇所、ごみ埋立場1箇所など環境総合処理施設
6三峡ダム水環境モニタリング施設建設 市環境モニタリングセンター及び各区県(自治県)モニタリングステーション(環境保護局主管) 三峡ダムおよび影響地区38箇所に環境モニタリング施設を設置し、地表水の日常計測、緊急モニタリング、富栄養化のモニタリングおよび数値処理と伝達設備を設置する:三峡ダムにおいて国がコントロールする水質自動モニタリング施設3箇所等
7小城鎮簡易汚水処理工程 各区県(自治県)政府 国債プロジェクトを未導入のすべての小規模都市が所有する簡易下水処理場(500箇所)、簡易ごみ埋立場(150箇所)を改修
8涪陵李渡大耍埧汚水処理場 涪陵区 汚水処理能力を1日3万トンに増強
9三峡ダム地区重点生活汚水・ごみ処理施設建設 関係区県(自治県) 74箇所の市町村汚水処理施設建設、71箇所の市町村ごみ処理施設建設
10御臨河流域水環境総合整備 渝北区、長寿区 沿岸の汚水処理・ごみ処理施設建設、埋立ごみ処理、河川浚渫
11 苎溪河水環境総合整備 長寿区、塾江県、梁平県 高梁、李河、高升3箇所の下水処理場と天城鎮の汚水収集管網などを建設し、合わせて1、2級の汚水管網18.06km、1日4600トンの生活廃水を処理。また、李河鎮ごみ埋立場1箇所および収集運搬システムを構築:1日生活ゴミ120トン、沿岸のごみ18.7万トンを処理、川底61万㎥を浚渫。また、農村のメタンガス槽13,158箇所、両岸の生態防護帯4517畝(約301ha)を建設。
   
(出所)重慶市環境保護産業国際協力プロジェクト推奨商談会での配布資料、各社ホームページ情報より筆者作成
 
表3 重慶市主要企業の専門領域 
   
企業名 中電投遠達環保工程有限公司 重慶三峰卡万塔環境産業公司 重慶康達環保産業(集団)有限公司 重慶康達環保産業(集団)有限公司
脱煙脱硫・脱窒素 危険廃棄物処理
専門領域 水処理

原子力発電
都市汚水処理 船舶汚水処理設備生産 都市汚水処理

工業廃水処理
備考 全国でも有数の技術をもつ 大晃工業(山口県)と合弁企業を設立(※2)
企業名重慶南州環保工程有限公司重慶市環境保護工程設計研究院有限公司重慶市排水有限公司重慶泰克環保工程設備公司
専門領域廃水処理
固形廃棄物・排気処理
騒音抑制
環境工程設計
環境影響評価
CRIシステム(汚水処理)
市内の排・汚水処理施設建設・管理運営等に特許経営権を持つ 化学・機械・製薬工業などの高難度工業廃水・生活汚水処理
備考河川流域水再生技術、廃水処理等の新技術に興味有り 重慶水務集団の傘下企業の一つ 今後、石油・石炭化学工業廃水など高難度工業廃水処理分野の発展を目指す
   
(出所)重慶市環境保護産業国際協力プロジェクト推奨商談会での配布資料、各社ホームページ情報より筆者作成
 
コラム(日本企業との合弁企業視察) 
 
 
重慶大晃康達環保技術有限公司は山口県にある大晃機械工業と中国企業の康達が合弁で設立した有限公司で、船舶で利用する油水分離器と汚水処理装置の2 つの製品を製造している。これらは、船舶法に基づき船舶に設置が義務付けられるため、現在中国沿海地域の造船所で需要が多い。油水分離器は、船底に溜まる「ビルズ」という油と水の混ざった物質を分離して油を回収し、水を再利用または廃流している。
一方、汚水処理装置は船舶のトイレの廃水を分離し処理するもので、主に客船に取り付けが義務づけられており、中国の船舶には需要が多い。 
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