第12回日中省エネルギー・環境総合フォーラム

qrcode.png
https://www.jc-web.or.jp/jcbase/
モバイルサイトにアクセス!
一般財団法人日中経済協会
〒106-0032
東京都港区六本木1丁目8番7号
MFPR六本木麻布台ビル6階
TEL:03-5545-3111
FAX:03-5545-3117
 

第12回【全体会議等全般】

 

はじめに~写真で振り返るフォーラム

はじめに~写真で振り返るフォーラム
 

開催概要

開催概要
 

日中間の省エネルギーと環境分野における官民協力やビジネス促進をテーマとした、日中省エネルギー・環境総合フォーラムが11月25日、北京市内で開かれました。フォーラムは、日本側が経済産業省と当協会、中国側は国家発展改革委員会と商務部が主催で、2006年から始まり、今回で12回目を迎えます。

フォーラムには、日中両国の政府、企業、専門家など合わせて約800人が出席。中国国家発展改革委員会の何立峰主任、商務部の銭克明副部長、世耕弘成経済産業大臣、当協会の宗岡正二会長の挨拶に続き、日本の企業が水素を活用した新たなエネルギー技術などを紹介しました。

全体会議に続いて、分科会が行われました。省エネ技術を活用したイノベーションシステム構築、クリーンコールテクノロジーと石炭火力発電、循環経済、自動車の電動化・スマート化、日中長期貿易(水循環改善における技術イノベーション)の5分科会で、日中双方のプレゼンテーションや意見交換が展開されました。また、前回(2017年の第11回フォーラム)以後に、日中の企業、政府などの間で交わされた覚書や提携などの案件も披露されました。今回は24件のプロジェクトが紹介され、第1回からの累計で362件に及ぶこととなりました。

 
 
1.日程:11月24日(土)~25日(日)
2.会場:国家会議中心
3.参加者数:約800人(日本側約300名、中国側約500名)
4.全体スケジュール
 
1124() 
【協力プロジェクト事前調印式】
16:00~16:30 於国家節能中心大会議室
司会: 張雲鵬 国家節能中心国際合作処 処長
立会人: 
日本側:山影雅良 経済産業省 資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部政策課長 
中国側:王静波 国家発展改革委員会 資源節約環境保司 総合協調指導処 処長 
 
1125()
全体会議】
9:30~11:35 於国家会議中心 4階 大会議庁B庁
開会挨拶・基調講演 
   司会:張勇   国家発展改革委員会副主任
      何 立峰 国家発展改革委員会主任
      世耕弘成 経済産業大臣
      銭 克明 商務部副部長
      宗岡正二 日中経済協会会長
調印文書交換式
経済産業省資源エネルギー庁及び日中企業代表による講演
   司会:任  樹本  国家発展改革委員会資源節約環境保護司 司長
      高橋泰三 経済産業省資源エネルギー庁長官
      王 天義 中国光大国際有限公司総裁
      山東理二 千代田化工建設株式会社代表取締役社長
      馬  剛 盈峰環境科技集団董事長
            畠澤 守 東芝エネルギーシステムズ株式会社代表取締役社長
閉会の辞 任樹本 国家発展改革委員会資源節約環境保護司 司長
 
【分科会】
13:30-17:30 於国家会議中心 2階会議室
1) 省エネ技術イノベーションシステム構築(206AB会議室)
2) クリーンコールテクノロジーと石炭火力発電(213AB会議室)
3) 循環経済(208AB会議室)
4) 自動車の電動化・スマート化(209AB会議室)
5) 日中長期貿易(210AB会議室)
 
地方視察
11月26日(月)  天津子牙経済技術開発区(省エネ技術分科会、循環経済分科会)
雄安新区(日中長期貿易分科会)
江蘇省泰州市(石炭分科会)
11月27日(火) 北京(自動車分科会)
 

全体会議 開会挨拶・基調講演 発言要旨(発言順)

全体会議 開会挨拶・基調講演 発言要旨(発言順)
 
何 立峰 国家発展改革委員会主任
 中国政府は環境政策を国策として推進しており、エコ文明の建設を重要業務と位置づけ、産業構造やエネルギー構造を調整し、生態保護、省エネ、排出削減に取り組んできた。その結果、1GDPあたりのエネルギー消費が20.9%削減された。これは、標準炭10.3億トン分に相当し、年平均エネルギー消費伸長率2.2%を支えるものとなった。
 中国の経済は高度成長段階からクオリティ重視の発展段階にシフトしており、持続的な成長のために省エネ、環境保護の改善につながる、①汚染対策による生態環境などの改善、②エコシステムへの取り組みで大規模な国土緑化アクションなどを実施、③グリーン発展の推進によるエネルギー消費量や石炭使用量の規制および節水プロジェクトの実施、④市場メカニズムに基づいた制度やメカニズム構築の強化、の4つの取り組みを推し進めていく。
 これらを踏まえて、以下の3つを提案したい。
1.協力の基礎固めや幅広い議論を推進し新たな交流・協力の場を作ること。
2.互いの強みを活かした実務協力を強化し、経済や貿易の往来をこれまでに以上に拡大すること。
3.国際的な協力を強化し、共通の利益を拡大し、ウィンウィンの関係づくりを模索すること。
 
世耕 弘成 経済産業大臣
 本フォーラムは、日中の省エネや環境に関する協力の象徴であり、12回の開催で累計362件もの協力案件を創出しており、これまでの日中間の協力がグローバルな動きをけん引するような事例も出てきている。
 今後は両国間の課題のみならず、「地球規模の課題」に取り組むことを期待しており、新たな次元の協力として、水素エネルギーと海洋プラスチックごみ問題が挙げられる。
 水素は次世代エネルギーの要であり、日本政府は昨年12月に「水素基本戦略」を策定。先月には21の国・地域・機関が参加した世界初の水素閣僚会議を日本で開催し、各国が共同で取り組む意義を確認した「東京宣言」を発表。今後は日中エネルギー対話の枠組みを用いて、官民で政策対話を行い、規制やインフラ整備などに関して多角的な議論を行っていきたい。
 海洋プラスチックごみ問題は、海洋生態系や人の健康に影響を及ぼしかねない地球規模の課題である。プラスチック加工工程でのゼロエミッションの取り組み、生分解性プラスチック等に関し、日中両国が経験や知見を共有することで、世界全体で取り組むべき問題の解決に貢献できる。
 本フォーラムでの議論が省エネ・環境分野における日中協力の一層の深化に向けた契機となることを期待している。
 
銭 克明 商務部副部長
 本フォーラムは、日中両国間の重要な経済協力メカニズムであり、両国の企業が交流や対話を行い、プロジェクトをすり合わせる上での重要な場ともなっている。
 これまで11回の開催を経て、両国の企業が338の案件に調印してきた。2010年以降、中国は400億ドルを超える省エネ・環境関連設備や技術を日本から輸入しており、大きな成果を挙げてきた。
 中国企業は一貫して省エネと環境保護を両立する政策を遵守しており、日本企業との間で行われている実務協力踏まえて、①省エネ・環境保護の共通認識のもとでの、両国の協力に関する戦略のすり合わせ推進、②イノベーションによる両国の経済貿易の質の高い発展、③相互の強みを活かした、第三国市場における協力の展開、④省エネ・環境保護分野での企業協力における、金融サービスによるサポートの強化、の4点に取り組むことを提案したい。
 
宗岡 正二 日中経済協会会長
 日中平和友好条約締結40周年にあたる今年、5月に李克強総理が8年ぶりに日本を公式訪問し、10月には安倍首相が7年ぶりに中国を公式訪問し、新たな経済協力に向けた両国関係が一歩前進したことが示された。
 また、9月には恒例の「日中経済協会合同訪中代表団」を派遣し、李克強総理との会見のほか、国家発展改革委員会、商務部、工業信息化部との交流会議を行い、地方視察ではニューエコノミーの先導役として発展している浙江省杭州市を訪問した。その際にも、本フォーラムのプラットホームが省エネ・環境分野の事業において十分に機能し、両国企業間で多くのプロジェクトが生み出されたことが確認された。
 第4次産業革命の到来に伴い、国民生活、産業、経済活動に大きな変化が生じる中、省エネ・環境分野でも変化に適合した新たな日中協力のビジネスモデル構築が求められている。こうした状況のもと、産業界の枠を越えた幅広い協力について議論するために分科会が設けられており、よりきめの細かい連携が推進されることを期待している。
 日本には省エネ・環境分野での豊富な経験と蓄積があり、中国にはデジタル経済分野における著しい成長が見られる。双方が各々の優位性を活かし、相互補完のビジネス協力で時代の要請に応えていくべきである。
 

全体会議 資源エネルギー庁及び日中企業代表による講演 発言要旨(発言順)

全体会議 資源エネルギー庁及び日中企業代表による講演 発言要旨(発言順)
 
高橋 泰三 経済産業省資源エネルギー庁長官
 日本は水素がエネルギー転換・脱炭素化のカギになると考えている。昨年12月、世界初の国家戦略として「水素基本戦略」を策定し、未来の水素社会の実現に向けて官民が共有すべき方向性や、ビジョン、そして行動計画を取りまとめた。また、本年の7月に「第5次エネルギー基本計画」において、エネルギー転換・脱炭素化に向けた切り札として水素を位置付け、10月には世界で初めて水素をメインテーマとする「水素閣僚会議」を日本で開催したところであり、水素社会形成に向けたグローバルな取り組みを加速させるためにリーダーシップを発揮していく。
 水素は多様なエネルギー源から生産でき、交通や産業など様々な分野の脱炭素化に利用できる。一方、水素が新たなエネルギー選択となるには、ビジネスとして確立し、グローバル市場が創出されることが必要である。
 2019年6月には、日本でエネルギー・環境分野におけるG20大臣会合が開催され、水素に関する議論を予定している。日中双方にとって、水素をはじめとする省エネ分野における幅広い交流、企業間の交流が進むことは重要だと考えている。 
 
王 天義 中国光大国際有限公司総裁
 当社は金融と産業が融合した、総資産4.7兆人民元、従業員数6万人の国有の大型企業ホールディングスで、中国大陸と香港での業務も手がけている。その中で資産管理、アセットマネジメント、投資銀行、エコ、観光、ヘルスケアを6大事業としている。とりわけエコの分野においてはごみの焼却、発電、分別、資源利用、水質汚染防止などのサービスをワンストップで提供している。
 国内での事業展開のほか、海外展開も進めており、ベトナムでのごみを利用した発電プロジェクトがメコン川デルタ地区におけるモデルプロジェクトや、欧州での、当時ドイツで最大規模の太陽光発電プロジェクトへの参画や、ポーランドでの東ヨーロッパ最大のM&A案件成功による欧州の固形廃棄物処理市場への参入などが挙げられる。今後は中東やアフリカにも進出する予定。
 今後日中双方の協力を深化させるためには、①イノベーション分野での協力を強化、②PPPによるグリーン発展の促進、③一帯一路によるグローバル協力、が必要だと考えている。日本と中国は互いに強みを持ち、相互補完性があるので、協力を深めたい。
 
山東 理二 千代田化工建設株式会社代表取締役社長
 当社は60カ国以上でビジネスを行っている総合エンジニアリング会社であり、世界のLNGプラント建設の40%に参画している。中国国内では、43件のプラント建設の実績があり、当社独自の排煙脱硫技術を20機の石炭火力発電所に対して技術協力を行っている。
 Hydrogen Council(水素協議会)の報告によれば、パリ協定合意の目標に向けて、水素へのニーズが2050年には現在の10倍、全エネルギー需要の20%を占めると予想されている。水素の強みには、①CO2を排出しないこと、②様々なリソースから生産可能、③貯蔵・運搬が可能、の3点がある。
 当社では、「SPERA水素」という水素を包含した液体から水素を取り出す技術を開発した。この技術には、長期間貯蔵・長距離輸送によるロスが極めて少ないこと、貯蔵・輸送におけるハンドリングが容易、既存の石油インフラをそのまま活用することが可能、リスクを石油製品並みに低減できる、実証済技術の組み合わせのため世界に先駆けて商用化可能である、といった強みが挙げられる。
 
馬 剛 盈峰環境科技集団董事長
 当社は、中国国内で先進的な環境衛生ロボットを主とするハイエンドの設備製造、環境総合サプライヤーであり、「スマート環境設備」「スマート環境サービス」という2つの事業の柱により、水や大気汚染、土壌汚染、固形廃棄処理の減量化、無害化資源化処理など、多くの省エネ・環境保護分野でのワンストップソリューションを提供し、発展を図ってきた。事業展開は中国全土の30の省、市、自治区にわたっており、日本との協力においては、グループ会社である中聯環境が日本企業との連携により福島県会津ゴミ処理センターにゴミ圧縮設備を納入したほか、福島では震災後の再建事業に参画した。
 省エネ分野における日中の実務協力のためには、①新エネルギーの利用やAIなどのハイテク技術・イノベーションの分野で更なる協力と交流を行うこと、②日中両国の企業が新たなテクノロジー産業革命の中で互いの技術・資金・市場開拓・コストの優位性を発揮し、第三国市場でのチャンスをつかむこと、③両国政府が省エネ・環境分野で政策や資金面のサポートをしていく、という3点が重要だと考える。
 
畠澤 守 東芝エネルギーシステムズ株式会社代表取締役社長
 日本や中国をはじめ、世界中で今、電力事業環境が大きく変革しており、2つの領域で大きな変化が生じている。1つめは、再生エネルギー市場の拡大、分散電源の増大とそれに伴う電力調整市場の拡大、といった新領域の拡大。2つめは、電気や廃棄物のCO2がメタンなどの価値の高い物質や新たなサービスに転換され、新産業が生まれたり、再生可能エネルギーが水素ガスに転換された余剰電力の電気への再利用や燃料電池自動車の燃料や熱エネルギーとしての利用など、社会全体のエネルギーそのものが様々な形でデザインされる次世代領域への変化。
 当社は特に、日本の水素戦略のもとで、電力を水素に転換し様々な産業で活用する技術であるPtoG(Power to Gas)の領域に注力し、実装プロジェクトを推進している。また、安倍首相が発表した、2020年に福島で再生可能エネルギーから燃料電池自動車1万台に相当する水素を製造する「福島水素エネルギー研究フィールド(略称:FH2R)」は、世界最大規模の水素エネルギーシステム製造施設となり、当社がその建設・運営・実装を進めている。
 このほかに、水素を「使う」技術として、廃プラスチックから出てきた水素をパイプラインで輸送し、電力と温水をつくり供給するような、産業用に特化した燃料電池の開発・製造・販売を行なっている。
今後、こうした新領域、次世代領域での日中両国の協力により、地球の低炭素化に貢献したい。
 

関連資料のダウンロード

関連資料のダウンロード
     
 

本件に関するお問い合わせ

本件に関するお問い合わせ
 
日中経済協会事業開発部/日中省エネルギー・環境ビジネス推進協議会(JC-BASE)事務局
電話:03-5226-7353
<<日中省エネルギー・環境ビジネス推進協議会>> 〒106-0032 東京都港区六本木1-8-7 MFPR六本木麻布台ビル6階 TEL:03-5545-3115 FAX:03-5545-3117