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中国におけるスマートシティ関連政策

 中国においてスマートシティ関連政策が矢継ぎ早に発表されている(「十二・五(第12次五カ年計画2011-2015年)」・国家発展改革委員会・地方政府等)中、中国住宅都市建設部(住建部)は2012年12月5日、≪国家智恵都市(スマートシティ)モデル都市計画展開に関する通知≫を正式に通達すると共に≪国家智恵都市デル都市暫定管理辧法≫と≪国家智恵都市(区、鎮)モデル都市指標体系(試行)≫のふたつの文書を発表し、智恵都市モデル都市の申請受付を開始、その後2013年1月28日に計90箇所の都市(区・鎮)を国家智恵都市モデル都市として認定した。(下表参照)認定された都市は今後3~5年の建設期間を経て、住建部の審査により、上から三つ星・二つ星・一つ星の3等級に分類されることとなる。
 
 モデル都市建設を通して、政府的観点からは、都市の健全で調和のとれた発展を保障し、企業的観点からは、スマートシティーの技術手段の利用により、企業自身の経営効力を向上させ、運営コストの削減、競争力向上の実現を可能にし、農家的観点からは、スマートシティーがもたらす「恩恵」を実際に感じることにより、農民の生活方式に画期的な変化をもたらすと考えられている。
 
 日本でも知名度の高い「中国・シンガポール天津スマートシティ」、「曹妃甸国際エコシティ」等、中国も早くからスマートシティ建設に取り組んできたが、常に統一的な建設基準が欠落していた。しかし今回の『指標体系』では建設体系や判断基準が明確に提示されており、一定以上の問題解決や、スマートシティの健全な建設プロセスを促進するとみられる。なお前述した2例について、前者はシンガポール、後者はスウェーデンが協定関係を結び積極的に建設に関わっている。日本においても北九州、豊田、けいはんな、横浜でスマートシティ実証試験が昨年度からスタートしているが、都市開発経験不足により、先行する両国の後塵を拝しているのが現状である。
 
 なお、住建部のモデル都市建設に伴い、モノのインターネット(IoT)・クラウドコンピューター・次世代インターネット等新しい技術が広範囲で応用され、都市のスマートレベルが絶えず向上すると考えられる。「十二・五」期間中、スマートシティの建設向けの総投資額は5,000億元を超えると市場は予測しており、各地域のスマートシティの建設ラッシュは、関連産業に2兆元の経済波及効果をもたらすとみられる。
 
 そんな中、スマートシティ開発の経験が乏しい日本の強みは、太陽光発電などの発電技術、余剰電力の蓄電システムや電気自動車などの蓄電技術、家電機器・照明・空調における省エネルギー技術、さらにHEMSやBEMSなど、まさに最先端の要素技術を数多く有している点である。今後中国側の関係部門と連携をとりつつ、それらの技術を売り込む努力を行うことが必要であり、さらに、個々の技術の売り込みだけでなく、シンガポール・スウェーデンのように計画の初期段階から、エコシティ計画全体に深く関与していくことも、日本の技術を中国に普及するためには必要だと考えられる。そこで日中省エネ環境総合フォーラムを積極的に活用するのが望ましい。
 
 
スマートシティー関連政策
能源局【智能電網】


2010/6「智能電網技術標準体系計画」(国家電網公司)
2020年までに強固たるスマートグリッドを整備する計画。、8 つの専門分野、26の技術分野、92 の標準シリーズが盛り込まれ、3段階に分けてスマートグリッド技術標準を制定。なお、能源局によるスマートグリッド推進の明確なタイムスケジュールは未定だが、「十二・五」でも迅速な整備が提唱されている。
発改委【低炭素都市】


2012/11「低炭素モデル省・区および都市の展開に関する通知(第2期)」
低炭素事業の発展計画および支援策の制定、低炭素排出事業を重点とする産業体制の設立、温室効果ガス排出の統計と管理体制の構築、低炭素生活・消費行動の提唱。現時点まで、すでに6つの省・区と36都市が低炭素モデル地区となっており、中国本土における計31の省市自治区のうち、湖南、寧夏、チベット、青海を除く各省がいずれも1ヵ所以上の低炭素モデル都市を有している。
住建部【智恵都市】

2012/12「国家智恵都市モデル都市計画展開に関する通知」
4つの1級指標、11の2級指標、57の3級指標と多岐に渡る詳細な指標が制定されており、モデル都市に指定された90都市(区・鎮)は3-5年の建設期間ののち、三つ星・二つ星・一つ星の相当級の智恵都市に命名される。
国家智恵都市(スマートシティ)モデル都市一覧
2013年1月28日
中華人民共和国住房和城郷建設部辧公庁
北京市北京市東城区、北京市朝陽区、北京未来科技城、北京麗沢金融商務区
天津市天津市津南区、中新天津生態城
上海市上海市浦東新区
重慶市重慶市南岸区、重慶両江新区
河北省石家庄市、廊坊市、邯鄲市、秦皇島市、遷安市、秦皇島北戴河新区
山西省太原市、長治市、朔州市平魯区
内蒙古自治区烏海市
黒龍江省肇東市、大慶市肇源県、佳木斯市樺南県
吉林省遼源市、磐石市
遼寧省瀋陽市渾南新区、大連生態科技創新城
山東省徳州市、威海市、東営市、寿光市、新泰市、昌邑市、肥城市、済南西部新城
江蘇省无錫市、常州市、鎮江市、泰州市、南京市河西新城区(建鄴区)、蘇州工業園区、塩城市城南新区、昆山市花橋経済開発区、昆山市張浦鎮
安徽省蕪湖市、淮南市、銅陵市、蚌埠市禹会区
浙江省温州市、金華市、諸曁市、杭州市上城区、寧波市鎮海区
福建省南平市、福州市倉山区、平潭綜合実験区
江西省萍郷市、南昌市紅谷灘新区
河南省鄭州市、鶴壁市、漯河市、済源市、新鄭市、洛陽新区
湖北省武漢市、武漢市江岸区
湖南省株洲市、韶山市、株洲市雲龍示範区、瀏陽市柏加鎮、長沙大河西先導区
広東省珠海市、広州市番禺区、広州市蘿崗区、深圳市坪山新区、佛山市順徳区、佛山市順徳区楽従鎮
海南省万寧市
雲南省昆明市五華区
貴州省銅仁市、六盤水市、貴陽市烏当区
四川省雅安市、成都市温江区、成都市郫県
西蔵自治区拉薩市
陝西省咸陽市、楊凌農業高新技術産業示範区
寧夏回族自治区呉忠市
新疆維吾尓自治区庫尓勒市、奎屯市
以上、90都市(区・鎮)
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