西部地区に日本の省エネ環境技術を発信
-第11回中国西部国際博覧会レポート
1. 西部地区最大の貿易・投資プラットフォーム-中国西部国際博覧会
中国西部国際博覧会(以下、「西部博」)は、国務院の批准を得て中国西部地域が共催し、西部大開発を加速させ、Win-Winの発展を目指すための国家レベルの国際見本市である。10回目の開催となった昨年の開幕式には、温家宝総理をはじめ6カ国の国家元首が出席するなど、西部地域で最大の外交、貿易交流、投資促進のためのプラットフォームとして広く認知されている。
今年の西部博は2010年10月22~26日に開催された。開幕式には王岐山副総理をはじめ劉奇葆四川省書記等の中国国内要人のほか、海外から44名の閣僚級要人が参加した。
博覧会期間中には、「第3回中国西部国際協力フォーラム」、「中国西部金融フォーラム」をはじめ、西部地区と中国内外との経済交流を促進するための100近いテーマ別のイベントが開催された。
そして展示会場には、海外103カ国から1000社を超える企業が出展し、また国内からも3000社余りが出展し、12万平方メートルにも渡って展示ブースが設けられた。主催者側の発表によると、期間中の来場者数は70万人を超え、調印されたプロジェクト数は1581(前年比18.1%増)、投資誘致額は7523.2億元(同27.3%増)、取引成約額は2241.8億元(同39.7%増)、契約ベースでは1935.5億元(同57.7%増)となり、史上最高の盛況となった。
2. 日本企業9社とともに出展-初の「日本パビリオン」を形成
こうした盛況を見せる西部博に、当会も今年初めて出展した。これは、今年7月に黄小祥四川省副省長が来日した際に、当会が出展の招聘を受けたことによるものである。また、副省長来日時に当会と四川省政府との間で締結された「省エネ・環境分野の交流と協力の強化に関する覚書」に基づく協力事業の第1弾に位置付けられる。
当会にて各社に呼びかけた結果、当会ブース内に5社、また単独ブース出展として4社の計9社の参加を得て出展した。さらに、出展企業からの参加者を中心に30名規模の西部博訪中団を派遣した。
また、当会の他にジェトロ、上海マートが個別に日本企業に参加を呼びかけており、こうした日本企業が集まることで、「日本パビリオン」を形成することができた。このような形で日本企業が集まって出展したことは初めてであり、まだまだ小規模だが日本企業の一定のプレゼンスを示すことができたことから、大きな一歩を踏み出したといえるだろう。
3. パネル展示「省エネルギー・環境プロジェクト推進」
当会のブースでは、「省エネ環境プロジェクト推進」をテーマとしたパネル展示を行った。パネルの内容は、当会が主催する日中省エネルギー・環境総合フォーラム(以下、「省エネ環境フォーラム」)や日中省エネルギー・環境ビジネス推進協議会の紹介、過去に省エネ環境フォーラムで合意された日中企業による調印案件4件の紹介、そして日立産機、三浦工業各社の高い省エネ技術を持つ製品の紹介で、計12枚のパネルを展示した。さらに、当会で作成した「日本企業の省エネルギー・環境関連設備・技術一覧(改定新版)CD-ROM」200部を当該分野に関心を有する企業の方々に配布したほか、ブース内ではパソコンにて当CDを実演することで、幅広く見学者に日本側のシーズ情報を伝えることができた。
21~25日の展示期間中、当会のブースには約1000名もの見学者が訪問、日本企業の省エネ・環境分野の技術への関心の高さが伺えた。特に当該分野に関心を有する企業50社からニーズ情報等に関する調査票に回答いただき、またニーズ情報の調査等を目的に30社と連絡先を交換できた。今後、こうした各企業のニーズ情報を有効に活用して、日中間の省エネ・環境ビジネスの発展につなげたい。
また、23日に当訪中団は黄副省長との会見を行い、今年7月に当会と四川省との間で締結した「省エネ・環境分野の交流と協力の強化に関する覚書」の具体化のための意見交換を行った。来年の西部博では「省エネ・環境」が重要なテーマとなる予定であることからも、当会としては、今後も西部博というプラットフォームを活用して、日中間の省エネ・環境分野での協力推進のために尽力していきたい。
開幕を宣言する王岐山副総理(開幕式)
展示会場の成都世紀城新国際会展中心
日中経済協会ブース
日本企業の省エネ環境技術には大きなニーズがある