(中国側からの政策動向と技術紹介)
商務部(詳細はアジェンダ参照、以下同様)から、①ダブルカーボン実現に資するグリーン貿易推進、②中国企業の低炭素転換への日本企業参入歓迎、③第三国低炭素プロジェクト支援での日中協力、という大局観が示され、これを受けて、国家発改委から、中国国内の「水環境対応と汚泥処理」ニーズの根幹は「資源化」にあるとの政策説明がなされました。
これら政策の目下のターゲットの一つは、都市化の進展により2021~25年の期間に新たに8万カ所増えるとされる行政村の汚水処理率の向上にあります。これについて、北控水務から、中国の汚水処理事業の炭素排出は1~3%を占めるに過ぎないが、汚水排出基準の厳格化に伴い急速な增加傾向にある、との指摘がありました。
本分科会では初の標準化政策に関するプレゼンテーションも行われました。中国標準化研究院からは、「汚水処理は他事業に比べて、一定の低炭素改造をすればCO₂排出を効率的に削減でき、コスト効率も高い」との言及がありました。そうした取り組みを支える標準の空白を埋める必要もあるとして、「薬剤使用と曝気のスマート化」、「(汚水処理分野の)分散型エネルギー利用」、「(同分野での)水素エネルギー利用」などの標準づくりを挙げました。
中国の国際標準化の積極性が注視されるテーマの一つに海水淡水化もあります。天津海水淡水化・総合利用研究所は、昨年に続き、海水淡水化の省エネルギー、低炭素化について、膜、蒸留法に加え、太陽光やLNGの利用による海水淡水化の技術動向を紹介しました。また、紅杉天枰科技グループからは、水処理事業の業界の弱点を補うためとして、炭素排出量算定の強化とエネルギー消費管理の向上に資するブロックチェーン、AI活用といったアプローチが説明されました。
(日本側からの海外水ビジネス展開と日系企業の貢献についての紹介)
日本側からは、経済産業省から、世界の地域別の水の社会課題と需要要因、および日本はこれらにどのような技術で貢献できるのかが紹介されました。日本政府は、日系企業が新しい技術によって各国・地域の課題解決に貢献するためのFS調査や実証試験を支援しており、これを通して得られた結論として、水ビジネスの海外展開に向けては、相手国の環境保護、資金面などのルール整備を手伝い、現地の人材育成に継続的に関与し、持続可能な水サービスを実現すべきというビジョンと、相手国のニーズを理解し、海外と現地のプレイヤーがお互いの強みを持ち寄って水サービスを実施していくべきというアクションの重要性を指摘されました。
続いて日本側プレゼンテーションを行った東レ、旭化成、日立造船、メタウォーターはいずれも、それぞれの強みを活かして、中国を含む世界の水の社会課題解決に貢献している代表的企業です。それらの実績には、低エネルギー消費、長寿命、資源循環などによる低炭素化への先行貢献も含まれています。