一般財団法人日中経済協会
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【開催報告】日中経済・貿易交流イベント及び水素エネルギー産業マッチング会(8/27-28・吉林省)

2025/9/5 掲載
 当協会は8月27日、吉林省長春市において、「日中経済・貿易交流イベントおよび水素エネルギー産業マッチング会」を開催しました(参加者:日本側87名、中国側:81名、計168名)。本イベントは、本年6月に東京にて開催しました、日中(吉林)水素エネルギー産業プロモーション交流会に続いて開催されたもので、同イベントの発展型イベントとして、また、吉林省の国家級イベントである「第15回中国-北東アジア博覧会」のサイドイベントとして開催しました。
 イベントの冒頭、主催者を代表して、当協会堂ノ上専務理事が挨拶を行ったほか、中国側主催者である楊安娣副省長から、来賓として、吉林省能源局・劉学鋒副局長、経済産業省・田中一成大臣官房審議官、松原市人民政府・施俊華副市長、濱田隆在瀋陽日本国総領事、新エネルギー・産業技術総合開発機構・長谷川浩之水素・アンモニア部部長からそれぞれ御挨拶をいただきました。
 その後、日中企業・団体関係者計13名による、水素エネルギー産業プレゼンテーションが行われ、自社の取組、今後の展望、日中協力の可能性等につき広く御紹介がありました。
 翌28日には地方視察として、水素エネルギー産業の発展に注力している吉林省松原市を訪問しました。午前には、同市政府主催の座談会が開催され、水素産業の取組状況や今後の展望等について説明があったほか、午後には関連施設・企業プロジェクトの現場見学を行いました。
 以下にイベント及び地方視察の概要を記載いたします。

日中経済・貿易交流イベント及びに水素エネルギー産業マッチング会(8/27・長春市)

1.主催者・来賓挨拶 
 堂ノ上 武夫 日中経済協会 専務理事
 劉学鋒    吉林省能源局 副局長
 田中 一成    経済産業省 大臣官房審議官
 施俊華    松原市人民政府 副市長
 濵田 隆   在瀋陽日本国総領事
 楊安娣    吉林省人民政府 副省長
 長谷川 浩之 新エネルギー・産業技術総合開発機構 水素・アンモニア部 部長
2.水素エネルギー産業プレゼンテーション 
 日中関係企業・団体代表計13名によるプレゼンテーションを実施しました。
3.自由交流
 プレゼン終了後、日中双方の参加者が会場内にて名刺交換等の自由交流を行いました。

挨拶者による主な発言・プレゼンテーション

1.主催者・来賓挨拶
(1)堂ノ上 武夫 日中経済協会 専務理事
  当協会は50年以上の歴史の中、吉林との協力は突出。コロナ明け2023年は「日中経済協力会議」を長春で
   開催。ともに吉林との経済協力を意見交換。現在は交流が更にアップグレードし、より具体化している。
  その具現化が本日の会議。6月に東京で行った交流会で吉林の水素産業発展計画等について紹介があり、吉
 林水素の発展ビジョンが明示された。カーボンニュートラル(以下、「CN」)は全世界が協力して解決すべ
 き問題。かつて日中は、石炭、石油など長年エネルギー協力があった。今後は水素を基軸にCNを実現するた
 め、本日の会議がその契機となることを期待。

(2)劉学鋒 吉林省能源局 副局長
  吉林省は、太陽光、風力、バイオマス、水資源が豊富。一汽集団、中車集団、吉林石化などは適合性が高
 く新エネルギー産業発展に優位性を持つ。近年、多くの政策を集中的に打ち出し、新エネルギーの革新的生産
 モデル導入で大幅にコスト削減。国電投、中能電、上海電力など、国内大手企業が吉林省へ投資。関連モデ
 ルプロジェクトは稼働開始。積極的に下流産業(消費)を育成していく。技術面では日本との協力を得てサ
 プライチェーンを構築。地域連携型の発展を促進したい。

(3)田中 一成  経済産業省 大臣官房審議官
  日中協力では個別分野の具体的な交流が重要。日経協、NEDO、吉林省の尽力に感謝。日本はグリーンDX
 加速へ向け、関連投資分野に対し20兆円の先導投資。今後10年で官民150兆円の投資を見込む。水素社会を
   推進し、クリーンエネルギーの普及・利用促進のため関連サプライチェーン構築には3兆円の政府支援。経
 産省は更に具体的な協力へ向けて日中経済協力の象徴とも言える日中省エネルギー環境総合フォーラム(18
 回)を北京で開催する予定。

(4)施俊華 松原市人民政府 副市長
  松原市は中国9大クリーンエネルギー基地の一つ。カーボンピークアウトへ向けた総合利用開発の試験都
 市。世界各国が水素発展を推進する中、EUは水素エネ戦略発表、日本も予算がつぎ込まれるなか、水素エネ
 ルギーは2070年には世界のエネルギー生産量の13%を占め、大きな市場が生まれることになる。松原市も現
 行試験モデルの質を高めカーボンピークアウトを達成すべく関連産業育成に努力。松原市は省内再生可能エネ
   の/3の能力を持ち、一体化発展を目指す。発展に必要な装備製造の支えは、従来の松原工業団地の化学工業
   を基礎にボトルネック解消を目指す。精密加工など日本の技術は発展に不可欠。
  このプロジェクトはコストの低下、供給網の整備、大規模の貯蔵など次の段階へ向けて整備を進め関連施
 設を建設中。

(5)濵田 隆 在瀋陽日本国総領事
  6月9日の大阪万博吉林デーでは吉林省の魅力をプロモーションする良い機会となった。本日は「第15回
 中国-北東アジア博覧会」も開幕した。「手を携え開放され た未来を切り拓く」をテーマに同地域各国の地域
   連携深化と発展のプラットフォームとなることを確信している。
  在瀋陽総領事館は昨年10月から吉林商務庁、長春日本商工会と定期対話メカニズムを始動した。また、7
 月には「日中バイオ医薬・生命健康産業商談会」が長春で開催。多くの日本企業も参加した。今回の水素を
 テーマとした経済分野の日中交流・連携・協力が一層促進されるよう全力で支援したい。

(6)楊安娣 吉林省人民政府 副省長
  水素は、グリーン経済発展の重要な原動力であり、最も潜在的な協力分野。吉林省は他にない恵まれた条件
 を持つ。豊富な水資源、自動車産業、化学産業が強固な既存基盤を持ち、水素エネルギー産業発展とのシナ
 ジー効果を生み出しやすい。
  「水素エネルギー吉林中長期発展計画」、「水素エネルギー吉林行動実施方案」、「水素エネルギー産業
 発展支援に関する若干の政策措置」などの政策を相次いで発表し、産業の科学的かつ秩序ある発展を強力に
 支援。これを背景に電投、中国能建などの水素エネルギー投資企業が次々と吉林省に進出。7月26日には、
 世界最大の「国家電投大安風力・太陽光水素製造・貯蔵と安全一体化実証プロジェクト」が正式に稼働を開
 始。中国がグリーン新興エネルギー分野で歴史的な突破を遂げたことを示した。また、中国初のCN建設に着
 手し、11の国家重点実験室、93の研究機関を有し、水素エネルギー産業の発展に強固な人材と技術的支援を
 提供。
  日本は、水素エネルギー技術の研究開発と商業化において世界の最先端。高い競争力を持ち、2011年から
 2020年には世界の水素エネルギー国際特許の24%を占め、水素製造、輸送などの主要なコア技術を保有。特
 に燃料電池技術において突出した優位性を持ち、水素製造、貯蔵、輸送、応用にわたる全産業チェーンを構
 築。技術提供を通じグローバルな再生可能燃料ネットワークを確立した。今後は、日本と相互補完的な協力に
 期待したい。

(7)長谷川 浩之 新エネルギー・産業技術総合開発機構 水素・アンモニア部 部長
  6月の東京での交流会では、吉林省側と活発に議論できた。その際、吉林側から紹介のあったプロジェクト
 を参観できることを期待。
  NEDOはエネルギー産業の研究開発を支援する国の研究開発機関。企業や研究者を支援。技術の海外普及
 活動も行う。中国では1980年代からエネルギー・環境分野を中心に100以上の共同事業を実施。吉林省では
 2000年初頭、当時の国家計画委員会、吉林科学技術委員会と共同でグリーン水素の実証実験も実施した。以
 来、中国ではグリッドに接続できない再生可能エネルギー由来のグリーン水素活用事業が急速に進展している
 と承知。日中企業のマッチングにより共同事業が生み出されると確信。水素技術の進展は地球温暖化、環境対
 策の面でも重要であり、両国にとっての社会的責任だと考える。
2.プレゼンテーション(計13名)
(1)朱 琳         中国科学院長春応用化学研究所 水素エネルギー研究院 副院長
(2)張 宇         中国産業発展促進会 水素エネルギー分会 副会長兼事務総長
(3)坂 秀憲      新エネルギー・産業技術総合開発機構 水素・アンモニア部 チーム長
(4)王建宇         一汽解放汽車有限公司 副総経理兼商用車開発院 院長
(5)劉大為          中能建水素エネルギー有限公司 副総経理
(6)侯夢霄          パナソニック(中国)有限公司 新エネルギー推進室 総監
(7)孫玉龍          中国電建集団 吉林省電力勘測設計院有限公司党委副書記 総経理
(8)和 魯        吉林電力股份有限公司 副総経理
(9)玉川 順一  三菱重工業株式会社 グローバル協業部 主幹部員
(10)王 健       中車長春軌道客車股份有限公司 未来技術部 副部長
(11)氏家 道登 JFEエンジニアリング技術(北京)有限公司 董事
(12)劉峰林       漢卓金科技(上海)有限公司 総経理
(13)平澤 佑典 みずほ銀行(中国)有限公司 中国アドバイザリー部 課長 

地方視察(8/28・松原市)

1.午前:松原市政府関係者との座談会 
(1)施俊華 松原市委常委・副市長による挨拶
  松原市は風力・太陽光で総計3800万kWの資源を有し、省内の33%を占めるグリーン電力の宝庫である。
   系統接続は579.2万kWに達し、CO₂を毎年数百万トン削減する。強固な化学工業基盤と完備したインフラを
   背景に、水素産業は青写真から実装段階へ進み、長嶺龍鳳湖の風力製水素や中能建のグリーンアンモニア、
   中国鋼研の水素直接還元鉄など10件の重点案件が加速中である。全体完成時には風光発電—水電解—水素化
   学—高端装備の全鎖エコを構築し、東北の中核かつ世界的拠点となる。日本との協力拡大も展望される。

(2)堂ノ上 武夫 日中経済協会 専務理事による挨拶
  本日、グリーン電力の宝庫たる松原市を訪問し、交流を通じて吉林省の水素関連産業の発展を深く理解でき
 嬉しい次第である。吉林省商務庁および松原市政府の御配慮に謝意を表する。視察団は日本の水素関連企業等 
 70名超であり、吉林省プロジェクトへの関心の高さを示すものである。長春のマッチング会では楊安娣副省
 長が潜在力を紹介し、日中協力への期待を表明した。松原市は「一区・二軸・四基地」構想の要で、案件が進
 展し注目度が高い。カーボンニュートラルは世界共通課題であり、次なる協力は水素を基軸に脱炭素を進める
 ものである。本日午後は関連施設を視察し、将来の協力に結び付けたい。本日の受入れに感謝し、交流が日中
 経済協力の新たな一頁となることを願うものである。

(3)松原市能源局:松原市水素エネルギー産業全体状況の紹介
  松原市は風光資源3800万kWで省内33%・第2位である。風力はⅢ類で2300万kW、太陽光はⅡ類で1500
 万kW、収集可能な秸稈は年800万トンと強みを有する。市は「十五五」末にグリーン水素全チェーン基地を
 核目標とし、水素化学・冶金・燃料・装備の4分野で集群発展を推進中である。10件の重点計画が進み、完成
 時には年産グリーン水素50万トン、アンモニア130万トン、アルコール180万トン、高純度鉄100万トン超を
 見込む。示範・装備製造・化学園区整備を梃子に、製造—貯蔵—輸送—利用の全産業チェーンを加速し、「松
 原モデル」で東北・全国を牽引する構えである。

(4)松原市石化園区による園区状況の紹介
  松原石化園区は2011年設立の省内第2の総合化学園区で、計画23.2平方キロである。2021年に省初のグ
 リーン電力示範区、2024年に省級統括水素ベース・増量配電網産業園に認定され、多数の省級称号を有す
 る。産業定位は「1+2」で、主軸はグリーン化学、重点は新材料と新エネルギーである。中能建等の大型案
 件が進展し、総投資455億元、稼働時に年産値320億元等を見込む。グリーン電力と低電価を核に「六金」優
 位を形成し、インフラは「十三通一平」を達成、355MW接続等の要素保障が整う。ビジネス環境も上位評価
 で、2024年は工業総産出額と投資が高成長である。「十四五」総仕上げ期にあり、一流の項目・投資誘致・
 基盤・安全の四本柱で国家級ゼロカーボン園区を志向し、視察・投資を歓迎するものである。

(5)中国能建グリーン水素アンモニア新エネルギー有限公司:松原プロジェクト紹介
  中国能建は「双碳」戦略の先鋒として中能建水素能源を設立し、全産業チェーン一体化を推進している。子
 会社の能建グリーン水素・アンモニア・ニューエナジー(松原)が中能建松原水素エネルギー産業園(グリー
 ン水素・アンモニア・メタノール一体化)を担い、300万kWの新エネ電源と年60万トンのグリーンアンモニ
 ア・メタノールを段階整備する計画である。一期は投資694.6億元、80万kW電源と年20万トン装置で、国家
 の先進技術示範に採択済みである。風光発電・送電は完了、主要装置据付と配管9割、試運転準備中で進捗95
 %超、9月末連系・投料試運転予定である。独自技術により源・網・負荷・貯蔵の最適化とグリーン製品認証
 を実現し、稼働後は水素基盤のグリーン化学・液体燃料産業を牽引する示範拠点となる。

(6)松原天楹グリーンエネルギー化工新材料有限公司:松原プロジェクト紹介
  中国天楹は環境・新エネルギーの国際上場企業であり、「環境+新エネルギー」を柱に発電、蓄電、水素製
 品、廃棄物発電、都市環境サービスを世界30超の国で展開する企業である。松原市を選定した理由は、吉林
  ・松原のグリーン電力直結体制、風力・水資源・バイオマスによる生産要素の充足にある。松原天楹風光蓄水
   素アンモニアメタノール一体化は二期計画で、一期は導入1.6GW・年産メタノール等50万トン、二期は1.7
 GW・65万トンを計画する。一期第1段階(年15万トン)は2025年5月着工、2026年末稼働予定、第2段階
 は2027年末稼働見込みである。下流新材料までのラインを備え、ISCC認証のグリーンメタノールは遠洋船舶
 燃料へ供給し、海運・商社と契約を進めている。協業拡大を期待する次第である。
【配布資料】

( 12646KB)

松原招商投資指南

( 8919KB)

松原市経済合作重点項目
2.午後:現場視察
(1)松原市規画展示館
  一行は、吉林省で初の都市計画展示館である同市規画
 展示館において、松原市の歴史・文化、経済発展のプロ
 セス、今後の都市計画や大型プロジェクトの計画等に関
 する紹介を受けました。また、水素プロジェクトに関す
 る都市マップ等の展示もあり、同市の水素全体の取組等
 につきマクロ的な理解を深めました。
(2)中国能建 松原水素エネルギー産業園 
  一行は、産業園の事務所建屋に入場し、上階からプロ
 ジェクトの建設現場を俯瞰した後、産業園関係者から、
 産業園のジオラマを囲んでの説明がありました。参加者
 から専門的な質問が相次ぎました。

 【参考】産業園概要
  国際的に先進的なアルカリ水電解による水素製造技術を
 使用し、水素製造、メタノール化、水素アンモニア貯蔵タ
 ンクなどの中心的な設備・装置は全て設置が完了し、本年
 9月に試運転開始を予定。新エネルギーの関連装置の取付はすでに完成。産業パーク建設の完了で、「グリー
 ン電力からグリーン水素を製造し、グリーン水素からグリーンアンモニアを生産」するという全プロセスで
 のグリーン生産を実現。年間20万トンのグリーンアンモニア生産の見込み。
(3)松原天楹 風光貯蔵・水素・アンモニア・メタノール
 一体化プロジェクト見学 
  一行は、プロジェクト建設地を見学しつつ、現場に設置
 された説明用パネル等を見学しました。

【参考】プロジェクト概要
    同プロジェクトは、全2期に分けて建設。第1期は約116
 億元を投資し、新エネルギー発電設備容量は1.6GW、年間
 計画生産量はグリーン水素5万トン、グリーンメタノール60
 万トン。第2期は約195億元を投資し、新エネルギー発電設
 備容量1.7GW、グリーン水素年間6.5万トン、グリーンアン
 モニア5万トン、グリーンメタノール65万トンの生産を予定。メタノールから下流の化学製品や新素材への生
 産ラインも用意し、より豊かな水素基盤の下流製品チェーンを拡張、将来の再生可能エネルギーの現地消費と
 高付加価値化を一層確保する。

本件問い合わせ先

日中経済協会業務部(担当: 藏田)
 TEL: 03-5545-3113
 daisuke.kurata[at]jc-web.or.jp ※[at]は@に変換ください。
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