【出張報告】海南省儋州市・洋浦経済開発区(8/10-14)
2025/8/25 Upd.
昨今注目されている海南自由貿易港政策の現場考察を目的に、2025年8月10~14日、当協会業務部及び北京事務所は、中国国際貿易促進委員会海南省委員会のアレンジにより、海南省(海口→ボアオ→儋州→三亜)を訪問する機会を得ました。
当協会と海南省の関係は古く、1987年秋、日中経済協会訪中代表団に対して、当時の谷牧国務委員から海南島開発について協力要請があり、協会会員企業40社の協力を得て「海南島開発協力委員会」を設置し、協力委員会の現地視察団を4回にわたり派遣して、訪日団の受け入れを行うなど交流を重ねた経緯があります。
さらに96年春、経団連ミッションで訪中した春名和雄委員長(丸紅元会長)に対して、朱鎔基副総理から改めて海南省洋浦地区の開発について協力要請がありました。当協会は専門家によるプロジェクト調査を実施し、同年の訪中代表団派遣の際に新たな協力可能分野と関連プロジェクトについて春名委員長から直接、朱副総理に対し報告を行いました。
(以上、『日中経済協会30年の歩み』などから抜粋)
(以上、『日中経済協会30年の歩み』などから抜粋)
ちなみに丸紅は、IHIとともに海南島における中国海洋石油のLNG 受入基地建設案件を受注し、2014年に完工しています(→中国・海南向けLNG 受入ターミナルを受注〔IHI プレスリリース、2011年8月17日〕)
海南省貿促会、洋浦投促局(儋州市商務局)ならびに洋浦経済開発区投資促進中心各位ほか、訪問先各位に記して謝意を表します。
海南自由貿易港投資ガイド(提供:海南国際経済発展局)
洋浦経済開発区展示館 見聞録
4大基幹産業
儋州洋浦は海南の工業集積地として、現在4大基幹産業を形成している。
第1の石油化学は洋浦の優位な伝統産業であり、長年の発展を経て、製油、芳香族化合物、オレフィン、新素材という4つの産業チェーンを構築し、全面的に発展中である。2024年には石化新素材産業の産出額が初めて1,000億元を超え、海南省初の1,000億元級先進製造業クラスターとなった。
第2に洋上風力は、グリーンへ向かう洋浦の重要戦略。省政府の強力な支援の下、洋浦はチェーン型思考で風力発電の産業チェーンを構築中であり、深能・大唐など送電網が進むことで、将来は洋上風力と装備製造を核とする第2の1,000億元級産業クラスターが形成される。
第3に国際健康食品港は、加工増値内販の免関税政策に大きく依拠している。海南オスカー糧油は2021年、この政策を享受した初の企業となり、2022年には4社、2023年には10社へと拡大し、企業数・生産額とも3年連続で倍増した。この政策は昨年11月に省全域へ拡大され、現時点で全省における政策恩恵額は100億元を超え、税還付は8.4億元に達している。原油精製から海産物、牛肉加工へと、ますます多くの企業が海南自由貿易港の政策的恩恵を受けている。
第4のデジタル経済は、洋浦にとって新興産業であり、デジタル保税やデジタル加工といった新業態を通じ、デジタル経済と実体経済の融合を促進している。国内初となるデジタル保税区も儋州に設立され、全国初のモデルとなった。
第1の石油化学は洋浦の優位な伝統産業であり、長年の発展を経て、製油、芳香族化合物、オレフィン、新素材という4つの産業チェーンを構築し、全面的に発展中である。2024年には石化新素材産業の産出額が初めて1,000億元を超え、海南省初の1,000億元級先進製造業クラスターとなった。
第2に洋上風力は、グリーンへ向かう洋浦の重要戦略。省政府の強力な支援の下、洋浦はチェーン型思考で風力発電の産業チェーンを構築中であり、深能・大唐など送電網が進むことで、将来は洋上風力と装備製造を核とする第2の1,000億元級産業クラスターが形成される。
第3に国際健康食品港は、加工増値内販の免関税政策に大きく依拠している。海南オスカー糧油は2021年、この政策を享受した初の企業となり、2022年には4社、2023年には10社へと拡大し、企業数・生産額とも3年連続で倍増した。この政策は昨年11月に省全域へ拡大され、現時点で全省における政策恩恵額は100億元を超え、税還付は8.4億元に達している。原油精製から海産物、牛肉加工へと、ますます多くの企業が海南自由貿易港の政策的恩恵を受けている。
第4のデジタル経済は、洋浦にとって新興産業であり、デジタル保税やデジタル加工といった新業態を通じ、デジタル経済と実体経済の融合を促進している。国内初となるデジタル保税区も儋州に設立され、全国初のモデルとなった。
石化の4つの産業チェーン
以上が4大新興産業の概要であるが、石化についてさらに詳述する。石化は伝統産業であると同時に、4本の産業チェーンを持つ。1960年代には年産800万トンの製油能力しかなかったが、技術改造を経て現在は約920万トンに達した。洋浦の石化は「一桶の原油を余す所なく活用する」という理念の下、下流へと価値を延伸し、6〜7年ごとに大きな発展段階を迎えてきた。
2013年には60万トン規模のPP(ポリプロピレン)プロジェクトが稼働し、中国が米仏に続く世界第3の芳香族化合物一貫技術保有国となり、西側諸国による技術独占を打破した。現在、芳香族化合物の生産能力は160万トンで、下流ではPPやPTTなど一体化石化プロジェクトが進む。第3のチェーンはオレフィン、すなわち100万トン級エチレンプロジェクトで、2018年着工、2023年に稼働した。第4のチェーンは新素材であり、京博のアスファルト、金発科技の改性ペレット、東方雨虹の防水材、星之海の電池級軽量アルミなどが操業中である。4本のチェーンが全面的に発展し、生産額は年々増加している一方、エネルギー消費原単位は継続的に減少し、洋浦の環境管理は厳格である。PM2.5は年々低下し、近年は指数15前後を維持しており、国内他沿海地域と比して優れた数値である。経済発展と同時に環境のグリーン化と持続可能性を重視している。
儋州洋浦の全景のジオラマ及びビデオ紹介
洋浦全域は114.78平方km2で、この展示館はその中心に位置する。3分間の映像で「四区三帯および環湾」構想を把握してほしい。
産業の例示
環新英湾発展計画
シンガポールとの比較
港・産業・都市の協同発展により新都市を築くにあたり、シンガポールとの比較を行う。洋浦のチーフプランナーはシンガポール出身の林光明教授であり、両地域には共通点がある。計画面積は環新英湾772km2、シンガポール724km2と近似し、産業構造も類似している。シンガポールも主産業に石化を抱え、主にジュロン島に集積している。一方、洋浦の石化クラスターは儋州に位置し、海南全体の石化も洋浦に集中する。ただし両地域は発展段階が異なる。シンガポールには60年の発展史があり、環新英湾一体化は2021年、洋浦国家級開発区設立は1992年、海南建省・特区化は1988年であり、発展歴史は37年にすぎない。都市建設、港湾、産業多様性に差があるが、成熟した自由貿易港としてのシンガポールの地理的利点や政策活用は学ぶべき経験である。










