一般財団法人日中経済協会
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【参加報告】2025大阪太倉デー・日中地方経済協力セミナー(5/7・大阪)

2025年5月7日、江蘇省太倉市主催による掲題セミナーが「融合を開放し チャンスを共有」をテーマに大阪市内で開催されました(当協会関西本部後援)。当協会からは今村健二関西本部事務局長が出席しました。次第および太倉市側の主な発言は以下の通りです。

次第:
 10:30 来賓紹介
 10:35 主催者挨拶  施  敬 太倉市常務副市長
 10:40 後援団体挨拶 池田 稔 日中経済貿易センター理事長
 10:45 来賓挨拶   景 春海 中国駐大阪総領事館參事官
 10:50 太倉市の紹介 楊 欣怡 太倉市招商局副局長
 11:20 基調講演   岡 豊樹 日中投資促進機構事務局長
 11:35 講演1    増澤聖太 太倉JP会会長 「太倉JP会について」
 11:45 講演2    松尾忠則 多摩川精機株式会社社長 「太倉への投資経験」
 12:00 調印式    太倉市招商局・日中経済貿易センター
 12:05~12:10    来賓記念写真
 12:20~13:30    昼食交流会

施敬 太倉市常務副市長

 太倉市は江蘇省蘇州市に属し、春秋時代に呉王がこの地に穀倉を設けたことからその名が生まれた。鄭和による7度の大航海の出発地でもあり、「錦繍江南、金太倉」と美称されている。市域面積は810㎢、常住人口は100万人を超える。国家級開発区、国家級総合保税区、省級開発区を1つずつ擁し、コンテナ取扱量が世界第20位である太倉港を有しており、上海大都市圏の中核都市である。
 太倉は、長江デルタ一体化戦略の機会を捉え、イノベーション経済の開拓に力を注ぎ、180以上の国・地域と経済貿易交流を築いている。1,800社を超える外資企業がこの地で成長を続け、フォーチュン・グローバル500企業のうち40社余りが投資しており、すでに長江デルタ地域で最も投資価値が高く、最も活力に満ちた都市の一つとなっている。
 2024年の域内総生産は1,880億元に達し、前年比6.8%増加し、一定規模以上の工業総生産額は3,408億元、前年比4.3%増、輸出入総額は172億ドル、前年比12.3%増であった。質の高い発展100強県のうち第6位、中国で最も幸福度の高い県級市の首位に9年連続で輝いた。中日両国は共にRCEP協定の加盟国であり、重要な協力パートナーである。一衣帯水の友好的隣国として共通利益は広範であり、協力の前途は広い。
 太倉が位置する長江デルタ地域は、中国で最も工業分野が揃っているハイレベルな経済地域であると同時に、地理的に日本に最も近い地域の一つであり、日本との経済貿易協力の基盤は強固であり、人文交流も悠久の歴史を持つ。日本企業が持つ「匠の精神」と太倉が備えている精緻を求め調和を重んじ、実務的でイノベーション志向の都市精神は、高いレベルで合致している。現在、日本は太倉にとって第3の外資導入先となっており、200社近い日本企業が進出しており、累計投資額は20億ドルを超える。
 本日の2025大阪太倉デーイベントにおいて、皆様と共に友情を深め、共に発展を図りたい。太倉は常にオープンで包容力ある姿勢で世界を受け入れ、イノベーション主導で都市の活力を引き出していく。今後も一流のビジネス環境を築き、グローバルなパートナーにより広い舞台を提供していきたい。より多くの日本の企業家が太倉の友人の輪に加わり、ハイエンド製造、ライフサイエンス、グリーン低炭素、科学技術イノベーション、貿易投資等の分野で協力を深め、手を携えてより高いレベルでのウィンウィン関係に向かって歩んでいくことを期待する。

楊欣怡 太倉市招商局副局長

 太倉は行政的には蘇州市に所属し、地理的には江蘇省南東部に位置し、東に揚子江を臨み、南には上海と接している。中国で唯一、揚子江沿いかつ上海隣接というロケーションの優位勢を生かして、揚子江デルタ地域で最も活力に満ちたエリアの一つとなっている。2014年、太倉は県レベルの中国トップ100都市の発展潜在力で第2位、総合実力で第6位にランクされ、GDPは1,880億元、1人当たりGDPは22万元を超えた。以下、4方面から太倉の魅力を説明する。

(1) 太倉は海と揚子江とを結び、優れたロケーションを有するハブ都市。太倉という名は、中国の春秋時代に呉王がここに穀物倉庫を設置したことに由来するもので、皇帝様の倉庫という意味。元代には海運が始まり、六国の埠頭と称されるようになった。明代の有名な航海家鄭和は、7回も大倉港から出発し、海のシルクロードに沿って世界との経済文化交流を推進した。歴史的な海運の繁栄と世界をつなぐ精神が太倉の開放性を培い、太倉には友好合作、ウィンウィンの遺伝子が根を下ろしている。
 現在、太倉の交通は利便性が高まっており、上海の中心部から50キロ圏内に位置し、高速鉄道で上海虹橋空港まで15分、南京・杭州都市圏にも1時間以内。2027年には上海浦東空港方面行きの線路も完成する見込みで、30分で到着できる。2028年完成予定の地下鉄線は、江蘇省と上海を結ぶ初の大規模都市間鉄道で、上海の十数線の地下鉄と接続が実現し、完全に大上海都市圏に融合する。
 2024年、大倉港のコンテナ取扱量は832万TEUに達し、中国第8位、世界第20位にランクされ、数年連続して江蘇省と揚子江の第1位を維持している。現在、太倉港は95のバースを備え、219の国内外航路を開設しており、そのうち日本への直行便は18線で、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、下関など13の主要港への直行便が毎週18便ある。一番速い便は下関航路で、所要時間30時間は通常の海運より3日以上短縮されており、コストは航空便より50%以上削減できる。そして、太倉港は上海と通関一体化を遂げ、同一の通関業務を共有し、上海港と戦略的に提携している。

(2) 太倉は産業が発達し、人材が集まる活力あふれる都市。外国企業に適した経済環境という顕著な特色がある。太倉は180以上の国と経済貿易の往来があり、工業企業1万2千社以上、外資系企業は1,800社余り、フォーチュン・グローバル500企業も40社を超えた。太倉は特に中国のドイツ系企業の故郷としてよく知られ、550社のドイツ系企業が進出しており、中国のドイツ系製造業の10%が集まっている。
 太倉では6つの特徴的な産業クラクターが形成されており、先端機器製造、新機能材料、本社経済の3つの産業を柱に、航空宇宙工業、バイオメディシン、文化観光の3つの特色産業も急速に発展中である。
 先端機器製造分野のうち、自動車コア部品の場合、世界トップ40サプライヤーのうち18社が進出しており、中国のCCTVで1台の完成車の7割の部品が太倉で製造できると報道されたことがある。先端機能材料分野では、太倉はアジアで最大の高級潤滑油生産基地であり、世界の大手企業が大規模な工場を建設している。ここ数年、世界有数の研究機関も太倉で先端材料分野のプラットフォームを設立し、地元企業をサポートしている。本社経済分野では太倉港の優位性を活かして、物流兼販売機能を備えた地域統括センターを設立する国際的なグループが多い。
 バイオメディシン分野では、主に医療機器、製薬サービス外注、新薬研究開発などに注力し、外資系大手や中国の上場企業が集結しており、太倉バイオベイが揚子江デルタ地域での知名度を高めている。航空宇宙工業分野では、強靭なものづくりの基礎と西北工業大学太倉キャンパスでの研究育成、さらに上海航空機産業の影響力を背景に、アメリカ、ドイツ、フランス、中国などの200社以上の関連企業が集中している。文化観光業分野では、江南水郷の風情あふれる庭園文化に加え、華東地域最大の室内スキー場を有するアルプス国際リゾート、およびドイツ風の商店街などの欧風リゾートが人気を集めて観光客を魅了し続けている。
 中独合作も太倉の特徴で、30年以上にわたりドイツとの協力を深め、現在は550社のドイツ系企業が集まり、総投資額は60億ドル、年間工業生産額は600億人民元を超えた。ドイツ系企業が太倉に占める用地面積はわずか0.24%だが、太倉市GDPの8%に貢献している。企業規模では、大企業がいくつかあるものの、ほとんどが細かい分野で市場占有率がトップを占める中小企業で、ドイツでは隠れたチャンピオンと呼ばれている企業である。
 太倉は日系企業との関係も深く、進出日系企業は約200社で、総投資額は20億米ドルを超えている。その85%が製造業企業で占められ、自動車、コア部品、ハイエンド設備、精密機械、電子製品などの分野に出資している。長年にわたり、日系企業は太倉を選択し、中国市場への信頼を深めながら、複数回の増資拡大を実現してきた。太倉では90%以上のドイツ系企業が規模拡大を実現したのと同様に、匠の精神を持つ日系企業も複数回の拡張を重ねた企業が多い。日系企業は、大手であろうと中小企業であろうと太倉の心地よいビジネス環境のもとで着実に成長を続け、豊かな投資成果を上げている。
 太倉は常に人材育成を推進している。成北工業大学と西安交通リバプール大学という2つの一流大学がそれぞれ太倉でキャンパスを設立し、スマート製造、人工知能、ソフトウェアなどの分野に強い人材を育成し続けており、年間合わせて4,000名以上の学士・修士・博士を地元企業に供給している。ブルーワーカーの場合、太倉は20年以上、ドイツからデュアルシステムという教育方針を導入し、工場のニーズに応じた専門技術者育成の提携を進めている。デュアルはドイツ語で二元性という意味で、半分以上の時間、生徒たちは学校ではなく、地元企業の工場で訓練を重ねている。こうしたデュアル育成センターが15カ所あり、累計1万人以上の専門技術者を育ててきた。また、地元企業に人材カスタマイズのサービスも行っており、産学提携の進化と人材エコシステムの形成により、日系・ドイツ系企業を含むグローバル企業に持続的かつ多層的な人材サポートを提供している。

(3) 太倉は美しい環境と住みやすい暮らしが調和した幸福な都市。「輝かしい金太倉」と称されるように、太倉は古来、豊かな自然資源に恵まれた街で、現代の都市開発においても自然を重視する理念を堅持しており、都市の緑化率は40%を超え、国家生態庭園都市、国家生態文明モデル都市に選ばれている。
 太倉市民の平均寿命は85歳以上で、中国の経済先進都市の中で唯一の長寿の街である。太倉には幸福の文化が根付いており、9年連続して中国のハッピーシティランキングでトップを受賞している。太倉は、人々の生活満足度を重視しており、都市と農村の住民収入の格差が全国最小であることに加え、高齢者ケアなども全国をリードし、法治満足度は四年連続蘇州第1位で、中国総合治安最高賞の長安杯まで取得した。長安とは、長い間、安易安楽に生活できるという意味。
 上海の総合ランキング第1位の瑞金病院も太倉分院を建設し、今年正式に運営が始まる。また、太倉は上海の347の公立病院の医療保険ネットワークに接続し、決済の共有を実現した。上海の5分の1の価格で同レベルの医療資源を享受できるため、太倉はコストパフォーマンスの良い衛生都市として注目を集めている。
 インフラ面では、太倉にはドイツ、フランス、アメリカなどの五つ星ホテルが多く進出しているほか、ドイツ風の商店街、華東最大の室内スキー場、クラブメッドなどのリゾートなども備わっている。
 教育面については、太倉は上海外国語大学と提携し、附属学校を設立して外国語幼稚園も配置するなど、日本人にとっても住みやすい環境づくりを推進している。現在、常住日本人は400人を超え、日本料理店は50軒以上、コンビニ、ゴルフ場、和式温泉など日本人好みの施設も充実している。太倉を中心とした半径50km圏内には、上海蘇州の日本人学校や日系銀行、イオンモール、日航ホテル、中日友好クリニック、日系建築会社などのインフラが完備している。太倉市政府は中日交流を重視し、定期的に日本で説明会を行い、日系企業の本社を訪問して開放の状況を伝え、日本の友人圏を拡大している。また、太倉の日本人会(JP会)とも提携し、時にはイベントに参加し、都市発展の最新の動きや政策を説明して、日系企業にとってより有効なビジネス環境の構築に努めている。

(4) 太倉は、ビジネスフレンドリーでサービスが行き届いた工業都市。太倉は長年、土地空間の総合整備に取り組み、年間約200万㎡以上の産業用地が供給でき、発展の余裕が十分にある。各開発区には400万㎡を超える賃貸工場が整備され、多様な産業ニーズ、多様な段階に対応できる。しかも大部分が政府所有のため、賃貸コストは上海の65%を下回っている。さらに、人材コミュニティ、社員寮を絶えず建設し、今後3年間に1万戸以上の人材アパートを新築して高品質で低コストの生活環境を提供し、企業の人材定着を後押しする。
 太倉市政府は、便利で効率的なサービス提供に取り組み、企業の要望に応え、企業に迷惑をかけないという理念のもとに、江蘇省投資者満足度ランキングで数年間トップを維持している。企業サービスセンターが会社設立、スタッフ募集、環境、セキュリティ強化などワンストップサービスを提供している。企業を設立するには2時間、重点プロジェクトを審査するには6日間、土地譲渡から施工許可書をもらうまでは30日間など、太倉は一連の革新政策を打ち出し、企業の発展に拍車をかけていく。さらに外資系企業が多いため、太倉は県レベル都市で唯一の全国特許保護重点連絡基地であり、誠実・公平・透明な市場環境を構築し、知的財産保護から優遇政策まで、企業の成長を支えるために全力を尽くしている。太倉はこれからも引き続き開放を加速させ、より優れた政策、より高品質のサービスを以て、日系企業にとって一番理想的な投資先になるよう頑張っていきたい。

太倉市投資ガイド(日本語;会場配布資料)

本件お問い合わせ

日中経済協会関西本部(担当:今村)
 TEL: 06-4792-1776
 kenji.imamura[at]jc-web.or.jp ※[at]@に変換ください。
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