【出張報告】「第4回文明交流・相互参照対話会(5/29-31・敦煌)」参加及び新疆ウイグル自治区訪問
1.はじめに
カシュガルのウイグル族の音楽隊
2025/06/06 掲載
2025年5月28日から6月4日まで、中国国際交流協会(CAFIU;中共中央対外連絡部の外郭団体)の招請を受け、当協会専務理事の堂ノ上武夫ら民間代表団が甘粛省と新疆ウイグル自治区を訪問しました。代表団は学識経験者・専門家・友好団体関係者ら14名で構成され、CAFIUの指名により堂ノ上が団長を務めました。
敦煌市(甘粛省)では、CAFIU主催で韓正国家副主席も出席した「第4回文明交流・相互参照対話会」に参加し、8つの分科会の一つにおいて堂ノ上が講演しました。会期終了後は、CAFIUの招待により新疆ウイグル自治区各地を訪問しました。
以下では、会議への参加や企業訪問などを通じて収集した現地の経済関連情報を中心に報告します。記載内容は、現地での説明や展示パネルに基づき、当協会業務部の文責をもって整理・仮訳したものを、訪問・交流順に掲載いたします。
敦煌市(甘粛省)では、CAFIU主催で韓正国家副主席も出席した「第4回文明交流・相互参照対話会」に参加し、8つの分科会の一つにおいて堂ノ上が講演しました。会期終了後は、CAFIUの招待により新疆ウイグル自治区各地を訪問しました。
以下では、会議への参加や企業訪問などを通じて収集した現地の経済関連情報を中心に報告します。記載内容は、現地での説明や展示パネルに基づき、当協会業務部の文責をもって整理・仮訳したものを、訪問・交流順に掲載いたします。
【謝辞】この場を借りて、貴重な経済交流や情報収集の機会を与えていただいたCAFIU ならびに甘粛省、新疆ウイグル自治区政府関係者ら、また各訪問先で本団を温かく お迎え下さった全ての関係の皆様に、記して謝意を表します。
2.主な日程(本ページの目次)
5月28日(水) | 羽田→北京→敦煌 |
5月29日(木) | 劉洪才・中国国際交流協会副会長との交流 首航100MW光熱発電プロジェクト見学 |
5月30日(金) | 第4回文明交流・相互参照対話会開幕式・分科会参加 |
5月31日(土) | 分科会発言 敦煌→トルファン→カシュガル |
6月1日(日) | カシュガル市老城区見学 新疆自由貿易試験区カシュガル片区見学 カシュガル経済開発区・綜合保税区見学 南達新農業見学〔※乳製品、食品・飲料メーカー〕 疆果果農業科技見学〔※ドライフルーツ等製造販売〕 |
6月2日(月) | カシュガル→ウルムチ 新疆銀朶蘭薬業見学〔※製薬、グリーン建築、都市暖房〕 朱立凡・新疆ウイグル自治区副主席との交流 |
6月3日(火) | 新疆ウイグル自治区政府との座談会 ウルムチ→北京 |
6月4日(水) | 北京→羽田 |
3.敦煌市における主な活動
(1) 首航敦煌100MW溶融塩タワー型太陽熱発電所見学
民営の首航エナジーが30億元を投じ2018年商業運転を開始した中国初・国内最大級の100MW級CSP(集光塔式)プラントで、260mタワーと3万tの硝酸塩溶融塩を用い最大11時間の蓄熱により24時間発電を実現する。12,000枚のヘリオスタット(総反射面積138万m2)が太陽光を集光し年間設計発電量3.9億kWh、売電単価は補助後0.4元/kWh。技術・設備は自社開発で青海・新疆にも展開、海外はボツワナと協力中。ミラーは30年使用・リサイクル可能でレアアース不使用、現地工場で製造から洗浄車開発まで一貫対応。日照や平地条件により南部建設は困難と説明された(→参考:外部の関連ネット情報:【1】 【2】 【3】)。

展示パネルの説明

12,000枚のヘリオスタット

260mタワー
(2) 劉洪才・中国国際交流協会副会長との交流

- 劉副会長は、北京ではなくシルクロードの要衝・敦煌で民間交流団を迎えられたことに歓迎を表明し、敦煌と新疆が少数民族文化を含む古来の中日友好の原点であると強調。今回の訪問を通じ、歴史と現代の中国西部を体感し民間交流を深めてほしいと語った。
- これに対し堂ノ上団長は、温かい接遇に謝意を示すとともに、沿海部中心の経済交流のみならず、長安~甘粛~新疆を経た古代シルクロードによる文化伝来の歴史と意義を再確認。多国籍が集う敦煌で多様性を包摂する対話会が開催されることに期待感を表明。
- 劉副会長も「百聞は一見に如かず」と敦煌市内各所訪問の感動などを共有し、今回の多国間対話会が歴史と文化の重要性を示す場になると応じた。
(3) 第4回文明交流・相互参照対話会

中文:第四届文明交流互鉴对话会
英文:The Fourth Dialogue on Exchanges and Mutual Learning Among Civilizations
主催:中国国際交流協会、甘粛省人民政府
日程:2025年5月29〜31日
会場:敦煌・国際展示中心
韓正国家副主席や胡昌昇甘粛省委書記、ネパール・バンダリ前大統領らが出席、開幕式では莫高窟ゆかりの「三兎共耳」を題材に多文化交流の演出などもありました。また、以下の8つの設置された個別テーマの1つ、「全人類共通の価値を実践するための生態学的行動」分科会では、当協会・堂ノ上専務理事が発言しました。
英文:The Fourth Dialogue on Exchanges and Mutual Learning Among Civilizations
主催:中国国際交流協会、甘粛省人民政府
日程:2025年5月29〜31日
会場:敦煌・国際展示中心
韓正国家副主席や胡昌昇甘粛省委書記、ネパール・バンダリ前大統領らが出席、開幕式では莫高窟ゆかりの「三兎共耳」を題材に多文化交流の演出などもありました。また、以下の8つの設置された個別テーマの1つ、「全人類共通の価値を実践するための生態学的行動」分科会では、当協会・堂ノ上専務理事が発言しました。

● 開幕式:韓正・国家副主席挨拶
中国政府は敦煌での会議開催を祝し、来賓を歓迎。習近平主席の「文明は交流で多彩に、相互学習で豊かに」の理念を踏まえ、古代シルクロードが体現した平和協力・開放包容の精神を再確認しつつ、今回のテーマ「シルクロード精神の発揚とグローバル文明イニシアティブ実践」の意義を強調した。イニシアティブは、1) 文明多様性尊重、2) 人類共通価値発揚、3) 継承と革新重視、4) 人的・文化的交流強化を提唱。現代の運命共同体時代において文明間交流は世界繁栄へ不可欠とし、1) 相互尊重、2) 求同存異、3) 継承と革新、4) 真摯な対話と互恵協力の4点を提案。中国は文明対話国際デー設置を含む行動で協力を実践し、今後もシルクロード精神と高品質な一帯一路建設、中国式現代化を通じ世界文明発展に貢献すると表明。参加者に知恵と力の結集を呼びかけた。
中国政府は敦煌での会議開催を祝し、来賓を歓迎。習近平主席の「文明は交流で多彩に、相互学習で豊かに」の理念を踏まえ、古代シルクロードが体現した平和協力・開放包容の精神を再確認しつつ、今回のテーマ「シルクロード精神の発揚とグローバル文明イニシアティブ実践」の意義を強調した。イニシアティブは、1) 文明多様性尊重、2) 人類共通価値発揚、3) 継承と革新重視、4) 人的・文化的交流強化を提唱。現代の運命共同体時代において文明間交流は世界繁栄へ不可欠とし、1) 相互尊重、2) 求同存異、3) 継承と革新、4) 真摯な対話と互恵協力の4点を提案。中国は文明対話国際デー設置を含む行動で協力を実践し、今後もシルクロード精神と高品質な一帯一路建設、中国式現代化を通じ世界文明発展に貢献すると表明。参加者に知恵と力の結集を呼びかけた。

● 開幕式:胡昌昇・甘粛省委書記挨拶
韓正副主席の演説に賛同。習近平主席が掲げる「一帯一路」とグローバル文明イニシアティブを実践し、人類運命共同体の構築と文明相互学習を深化させる決意。甘粛はシルクロードや黄河文化など豊富な遺産を擁し、世界文化遺産7件、博物館262館を数える文化大省。敦煌は異文化交流から独自の敦煌文化を生んだ文明の珠玉であり、その包容の精神は現代にも通じる。本対話会では、各国がシルクロード精神―平和協力・開放包容・相互学習・互恵共栄―を共有し、文化の融和と思想の交錯を図る架け橋と位置づけ、甘粛から世界文明の多彩な発展へ貢献したいと結んだ。
韓正副主席の演説に賛同。習近平主席が掲げる「一帯一路」とグローバル文明イニシアティブを実践し、人類運命共同体の構築と文明相互学習を深化させる決意。甘粛はシルクロードや黄河文化など豊富な遺産を擁し、世界文化遺産7件、博物館262館を数える文化大省。敦煌は異文化交流から独自の敦煌文化を生んだ文明の珠玉であり、その包容の精神は現代にも通じる。本対話会では、各国がシルクロード精神―平和協力・開放包容・相互学習・互恵共栄―を共有し、文化の融和と思想の交錯を図る架け橋と位置づけ、甘粛から世界文明の多彩な発展へ貢献したいと結んだ。

● 8つの分科会テーマ
- 全人類共通の価値の法的基盤の強化
- 文明の継承とデジタル・シルクロードに関するグローバル対話
- 文明間対話における若者の力
- 文明共同体の構築:博物館国際協力の新しいビジョン
- 平等、包摂、調和、共生:多文明の文学的物語
- 調和と差異・互いに学び合う:漢学研究者から見た文明の多様性
- 全人類共通の価値を実践するための生態学的行動 ※当会専務理事発言
- 人工知能(AI)時代における文明の再建と再生
→日中経済協会専務理事・堂ノ上武夫 講演骨子
2006年に始まった「日中省エネルギー・環境総合フォーラム」で、温家宝総理の賛同を得てスタートし、昨年11月には東京で第17回を開催。カーボンニュートラルを念頭にハイレベル対話と5分科会(省エネ、水素、自動車等)を設け、累計457件の協力MOUを創出した。日本企業の技術シーズをウェブで公開し、地方現場視察を通じてビジネスマッチングも促進。このフォーラムの枠組みを深化させ、脱炭素と安定エネルギー供給の両立を日中協力も通じて世界に展開したい。
2006年に始まった「日中省エネルギー・環境総合フォーラム」で、温家宝総理の賛同を得てスタートし、昨年11月には東京で第17回を開催。カーボンニュートラルを念頭にハイレベル対話と5分科会(省エネ、水素、自動車等)を設け、累計457件の協力MOUを創出した。日本企業の技術シーズをウェブで公開し、地方現場視察を通じてビジネスマッチングも促進。このフォーラムの枠組みを深化させ、脱炭素と安定エネルギー供給の両立を日中協力も通じて世界に展開したい。
4.カシュガル市における主な活動
(1) カシュガル市老城区保護綜合治理記念館
カシュガル古城は2000年超の歴史を刻み「シルクロードの生きた化石」と称される国家歴史文化名城。2003年には世界遺産候補として高く評価されたが、老朽化が深刻化。党中央と自治区の支援を受け、2009年から「危険老朽家屋改造総合整備プロジェクト」が始動し、国補助200億元など総額704.9億元が投じられた。2010年以降、28地区・約5万戸・507万m2の住宅改修や上下水・電気・道路などインフラを整備し、仮設住宅4,622戸も建設。改造は規模、速度、住民参加の点で世界的モデルとなり、2015年には半開放式として全国初の国家5A級観光地に認定。歴史的景観を保全しつつ居住環境を向上させ、観光資源としても再生した。
記念館入口の老城区模型

老城区ジオラマ
カシュガル古城内の職人
(2) 中国(新疆)自由貿易試験区カシュガル片区

- カシュガル概況:カシュガル(喀什)は中国西部の国境地帯、新疆ウイグル自治区南西部に位置し、国家が西方へ開かれる重要な玄関口であると同時に、シルクロード経済ベルトの核心を支える要衝、かつ中国(新疆)自由貿易試験区3大エリアの1つ。「五口通八国一路連欧亜(5つの港(口岸)で8カ国に通じ、1つのルートでユーラシアを結ぶ)」という地理的優位性を備える。行政区域の総面積は16.2万km2、1市11県を管轄し、常住人口は約503万人にのぼる。カシュガルは農業資源が豊富で、全国でも有数の穀物・綿花・林果類の生産拠点である。さらに太陽光・熱や鉱産資源にも恵まれ、新疆における重要な光蓄エネルギー基地にもなっている。歴史文化と自然景観は国内外で広く知られ、「カシュガルを訪れずして新疆を語るなかれ」と称されるほどの名声を誇る。周辺は8カ国に隣接し、飛行機で1時間半圏内に周辺8カ国の首都へアクセス可能。中国・パキスタン経済回廊の一部を構成し、西アジア、中央アジアへの通路になっている。
- 地域的優位性:カシュガルは古代シルクロードの要衝であり、世界4大文明の交差点として知られる。古来より中国が西方へ開き、中亜・南亜・西亜さらには欧州へと至る国際大動脈の役割を担ってきた。中国-パキスタン経済回廊(CPEC)および中国-キルギス-ウズベキスタン鉄道の起点でもあり、パキスタン、タジキスタン、アフガニスタンなどの国々と国境を接する。周辺には紅其拉甫、卡拉蘇をはじめとする5つの対外開放口岸があり、「5つの関口で8カ国に通じ、1つのルートでユーラシアを結ぶ」という口岸群と独自の立地優位性を備えている。
- 政策的優位性:新疆を1つの盤面とすれば、南疆はその「要」であり、国家戦略上極めて重要な役割を果たしている。「一帯一路」構想、新時代西部大開発、国家の西向け開放、対口支援(援疆)などの国家的重点政策がここで集中的に展開されている。自由貿易試験区、国家級経済開発区、総合保税区、越境EC総合試験区という「4区」の相乗効果が着実に発揮され、国家・自治区・援疆省市・カシュガル現地の各種優遇政策が重層的に適用される。なかでも企業所得税の「5免5减(5年間免税・次の5年間半減)」という優遇措置は全国でも唯一の制度である。
- 資源面での優位性:カシュガルは、北緯37度の「植物生育黄金ベルト」に位置し、中国でも有数の穀物・綿花・果樹・瓜菜類・畜産・特色作物の一大生産基地で、「果物の里」の異名を持つ。また、鉛・亜鉛・リチウム・バナジウム・チタンなど鉱産資源が豊富で、確認済み鉱種は64種にのぼる。砂漠、オアシス、フータン(ポプラ林)、氷河、雪山など多様な景観が交錯し、自然と民族風情が織り成す国際的観光地としての地位を確立している。さらに、太陽光、水力、地熱など再生可能エネルギー資源にも恵まれ、新エネルギー産業発展の巨大なポテンシャルを秘めている。
- 人文面での優位性:カシュガルは古来より多民族が共住し、多様な文化が交わる舞台として発展。歴史の脈絡は途切れることなく続き、豊富で輝かしい文化遺産が今に残る。カシュガル市は国家級歴史文化名城であり、中国優秀観光都市にも選定。2000年以上の歴史を有する。
- 五口通八国一路連欧亜:「5つの港(口岸)で8カ国に通じ、1つのルートでユーラシアを結ぶ」優位性を示す図。5港(口岸)とは、吐爾尕特口岸、伊爾克什坦口岸、喀什国際航空港口岸、卡拉蘇口岸、紅其拉甫口岸。
- 中国(新疆)自由貿易試験区カシュガル片区:総面積は28.48km2。2023年10月31日、党中央と国務院は中国(新疆)自由貿易試験区の設立を正式に承認し、11月11日には同自由貿易試験区カシュガル片区のプレート除幕式が行われました。カシュガル片区は、中国(新疆)自由貿易試験区を構成する3大エリアの1つで、総面積は28.48km2。このうち、カシュガル経済開発区が13.68km2(新疆生産建設兵団第3師の3.81km2とカシュガル総合保税区の3.56km2を含む)、カシュガル市域が14.8km2となっている。
- 産業配置:先進的製造業は6分野、現代サービス業は4つのエリアに分かれている。カシュガル地区では改革任務が117件、2023年は2件、2024年は91件を達成。今年の計画は24件の改革任務と措置に努力している。
- カシュガル経済開発区の概況:開発区の計画面積は50km2、うちカシュガル主体部分は40km2。その他の10km2は克州伊爾克什坦口岸園区となっている。昔からの主体部分は、4つに分けられ、すなわち総合保税区、城東金融貿易区、臨港物流産業区、城北加工転化区である。
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(3) カシュガル経済開発区(綜合保税区)越境EC輸出入商品展示交易中心

カシュガル経済開発区(綜合保税区)に建設された越境EC輸出入商品展示交易中心は延べ18,760m2、地上3階建て。1階に保税・無関税商品や中南ア・欧州など地域別展示館、2階に輸入品・地元特産品展示や飲食・プロモーション区、3階にECライブ配信拠点と都市型空港ラウンジを配置する。2024年9月15日に開業し、海南自由貿易港徳航集団、「カシュガル味道」、南疆保税、上海斯易文化など取引・ライブコマース企業、越境物流のカシュガル海免、新疆疆来美農業科技など大手も入居。海外サプライヤーが保税倉庫へ直接搬入する「保税備蓄」モデルを採用し、全輸入工程を税関が監督。来店客は実物を比較し、オンラインで発注後に自宅配送を受け取る“オフライン体験+オンライン注文”の一体型サービスを享受でき、従来の越境通販や代購と異なる利便性と安心感を提供するワンストップ・ショッピング拠点となっている。
(4) 南達新農業股份有限公司〔乳製品、食品・飲料メーカー〕
南達新農業は1987年にカシュガルで創業し、氷河水を引いた有機農場・ゴビ牧場・砂漠牧場を整備。一次(栽培・畜産)・二次(加工)・三次(サービス)を循環させる“乳業フルバリューチェーン”を構築し、越境ECや観光も融合させ急成長した。ゴビ土壌改良で335haを開墾・100万本植樹し、炭素固定を強化。氷河水で育つ乳牛から高品質ミルクを生産し、政府委託運営のゴビ牧場では2,145世帯の貧困脱却を支援。有機果樹も拡大し、研学・アグリツーリズムで雇用を創出。子会社マイフドンは牛乳ナンなど日産30万枚を製造し、「カシュガルの贈り物」ブランドで差別化を図る。環境保全、地域振興、食品イノベーションを一体化したモデル企業である。

飲料工場ライン

プロダクツのライブカマース

プロダクツの試食会
(5) 中国新疆民族楽器村

カシュガル近郊・疏附県に所在。2000年に国務院から命名され、2011年には国家級無形文化遺産生産性保護モデル基地となった。ウイグル古典音楽「12ムカーム」を象徴する12本柱が立ち、村では150年以上にわたり27大類50余種の伝統楽器を家内工業で製作。政府はこれまでに2,400万元超を投入し、道路・水電などインフラ整備と観光対応施設を整え、273世帯の年収を一人当たり1,000元以上引き上げたとされる。村は国家AAA級観光地として脱貧困と農村振興を牽引。14人の職人が8工房で技を継承し、国家級伝承人の熱合曼氏には年間2万元、各工房にも県から1万元が補助される。純手作り楽器の音色と工芸は国内外の観光客から高く評価され、「新疆民族楽器第一村」の名声を確立している。
(6) カシュガル疆果果農業科技有限公司〔ドライフルーツ等製造販売〕

2015年創業のカシュガル疆果果農業科技は「南疆の果農を支援し幸福を届ける」を理念にドライフルーツ製造販売を展開。広東省の対新疆支援を追い風に、売上は17年2,500万元から21年2.2億元へ急伸した。1) 累計10万トンの農産物買付で5万戸超の増収、2) 4,500ムーの果樹園を改良し収益最大3倍、3) 専門チームが科学栽培指導を延べ5万人に実施、4) 資材・機器寄付、5) 76の農家提携で3,500人を地元雇用、6) 農民146人が株主化し配当を享受──など産業チェーンを強化。原料はコア産地から10%のみ厳選し研究開発で付加価値を向上、全国5倉庫・9サービス拠点を整備し国有大手へ供給。コロナ禍の寄付計312万元や少数民族社員の都市研修、社内「奮闘者」表彰で文化融合と人材育成も推進。毎年10製品の新開発を目指し、「新疆の果物を世界へ」のビジョン実現を図る。
5.ウルムチ市における主な活動
(1) 新疆銀朶蘭薬業有限公司〔製薬、グリーン建築、都市暖房〕

1994年創業。「中薬・民族薬」「グリーン建築」「都市暖房効率化」の3大産業チェーンを築き、「三為」文化を掲げて発展してきた。中核の新疆銀朶蘭薬業は50年超の製薬技術を継承し、栽培・研究・生産・販売を一体化。82件の国薬準字を保有し、6品が国家医療保険目録入り。GAP準拠の薬用植物基地(3,500ムー)を設置し、自動抽出・包装ラインでスマート製造を推進する。中医科学院など50余機関と連携し138件の科研プロジェクトを担当、特許35件、科技賞21件を獲得。ウイグル薬12品目で国薬準字を取得し、4品が第Ⅲ相臨床中。「複方比那甫西顆粒」は新疆初の1.1類中薬イノベーション薬として2025年上市予定。2024年にはパラセタモール発泡顆粒の一致性評価も突破。第14次五カ年計画では国家級研究・製造・人材・交流機能を備えた「中薬・民族薬産業パーク」を建設し、新疆医薬産業の高度化を図る。
(2) 朱立凡・新疆ウイグル自治区副主席との交流

習近平主席が示した新時代の新疆発展戦略により地域は大きく変貌。1) 新疆はユーラシアを結ぶ「黄金の回廊」で、中欧班列は年1万本超、輸出入額は23年に3,600億元へ増加し、19口岸を擁する最前線の開放地となった。2) 石油・天然ガス探明埋蔵量各20%、石炭40%を占め、新エネルギー比率も急伸して全国への送電を支えるなど、中国有数の総合エネルギー基地に成長。3) 直近2年の食糧生産伸び率は全国1位、小麦単収もトップで、綿花・果物・畜産物など多様な農産品を供給。4) 長い国境線を守る国家安全の「西の壁」として安定を維持しつつ、23年の観光客は2.65億人、収入2,960億元と文化観光も隆盛。朱副主席は伊犁草原やアルタイなど四季折々の絶景と多民族文化、「リンゴの香り」など楽曲の魅力を紹介し、日本人に訪問と情報発信を呼びかけた。
(3) 新疆ウイグル自治区政府との座談会(中国側からの説明概要)

- 外事弁公室:新疆の安全回復・経済発展・インフラ整備・生態保護・貧困脱却・民族文化保護・対外開放を7項目で総括。GRP、貿易、鉄道・高速網、砂漠緑化、宗教教育、自由貿易試験区の実績を列挙し、日本側に現地視察と協力拡大を促した。
- 教育庁:教育投資は24年1,088億元、奨学援助で就学困難ゼロを達成。南疆4地州で15年無償教育を実施しデジタル化で格差縮小。職業教育は10大産業と連携、高等教育は15大学新設。95か国1.3万人の留学生受入れ、日中大学間交流も拡大中。
- 商務庁:新疆の輸出入は直近3年で1兆元突破、24年611億ドルで伸び率全国2位。対日貿易は24年2.69億ドルと50%増、日本企業22社の拡大を歓迎。「投資促進23条」等で公平環境を整え、自由貿易試験区を核に外資企業3万社を誘致している。
- 文化・観光庁:166万km2に133の国保文物、無形遺産5,000件、A級景区776を擁し空港21・国際便21都市と交通充実。23年外国人客5,148万人・収入44.8億ドル。文物レプリカ展や日本旅博出展など対日交流を推進、大阪万博でも新疆展示を予定。
- 発展改革委員会:24年GRP 2.53兆元で成長率6.1%、投資8.9%増・財政収入10.5%増と全国上位。石油ガス・新エネ・観光・穀物が躍進し、10大産業クラスター工業増加額5,600億元。住民所得6.7%増で3年連続高伸、経済の質的向上を強調。
- 科学技術庁:国家級イノベーションプラットフォーム22を擁し、新材料大容量電池、風力発電技術、スマート装備、中医薬国際拠点を育成。京都大等と乾燥地生態やテラヘルツ研究で連携。外国人専門家にワンストップ査証を提供し協力を促進。
本件お問い合わせ
日中経済協会業務部(担当:澤津)
TEL: 03-5545-3113
naoya.sawazu[at]jc-web.or.jp ※[at]は@に変換ください。