一般財団法人日中経済協会
〒106-0032
東京都港区六本木1-8-7
MFPR六本木麻布台ビル6階
TEL:03-5545-3111(代表)
FAX:03-5545-3117

【表敬報告】艾学峰・広東省発展改革委員会主任一行(5/20)

艾学峰広東省発展改革委員会主任を団長とする一行6名が、2025年5月17日~21日、海洋経済、バイオ医薬など同省の重点経済発展領域におけるビジネス協力の促進を目的に訪日しました。

当協会は中国側からの要請に基づき、活寿会記念クリニック(大阪市)のほか、都内では日本郵船AGC三井化学ら賛助会員企業との交流をサポートしました。

一行は5月20日、佐々木伸彦・当会理事長を表敬しました。その際の交流内容の一部をご紹介します。

<訪日団名簿>
 艾学峰 広東省発展改革委員会 主任
 于茂軍 広東省発展改革委員会 産業発展処長
 刁 鵬 広東省発展改革委員会 民営経済発展局長
 鄧聯軍 広東省発展改革委員会 創新発展処副処長
 陳暁芳 広東省発展改革委員会 区域協調処副処長
 龔鵬輝 広東省発展改革委員会 社会発展処副処長
 王焱侠 中国エネルギー研究会 カーボンニュートラル専門委員会副主任委員

なお、団長の艾学峰主任は、深圳市副市長時代の2017年に当会訪中代表団と会見するなど、旧来より交流があります。

艾主任発言概要

  • 自分が高校時代を過ごした瀋陽市は、札幌市などと友好関係にある。中日青年交流活動が盛んに行われたことは印象深く、若い友人らが瀋陽にきて大体育場で交流をしあったもの。
  • その後、北京から転勤し、深圳市副市長として日本経済界との交流も多かった。広東省は中国でも最も発展が進んでおり、市場化、法治化、国際化に全面的に取り組み、さらなるビジネス環境の改善に絶えず努力している。外資の要望にも応じた投資環境をできる限り整備したいから、広東省長を筆頭に毎年何回か日本を含む外資経済顧問との交流活動も継続している。
  • 改革開放から40年あまり、経済発展の面において大きな変化はあったが、外資との協力政策は不変であり、投資は積極的に歓迎し、開放政策も不変。広東省は、とりわけ日本との間の経済貿易協力の前途は明るいと思う。
  • 中国には、京津冀(北京・天津・河北)、長江デルタ(上海・江蘇・浙江)に加え、グレーターベイエリア(広東・香港・マカオ)の地域経済発展が進んでいる。3地域の発展エンジンは生産力が高く、人材も集中している。これら3エンジンのうち、市場化の程度が一番高いのがグレーターベイエリアであり、例えばグレーターベイエリア内の9都市だけでスマートフォンの使用人口は1億人を超える。
  • 改革開放以来、広東省のGRPは、34年連続NO1を継続中。イノベーション能力の高い企業もうまれた。深圳に本社を構える華為、世界最大の新エネ車メーカーのBYD、世界シェアでNO1・ドローンメーカーのDJIらは、グローバルスタンダードなビジネス環境の下で成長。そのうち経済発展の中でで産業間の連携は切り離せない。日本からも協力でも重要産業において助けていただいた。
  • 自動車生産量の面で、日本の自動車メーカーとの合弁生産能力は中国でもNO1。EVの発展は速く、経済発展とともにチャンスも拡大し、日系進出企業は激しい競争に消耗しているが、競争で強くなって拡大している企業もある。競争も必ず力になると信じている。
  • グレーターベイエリアの産業の特色の1つは、は電気通信機器の生産基地であること。この分野で1,000万ドルの売上を達成しているのは美的(Midea)と格力(Gree)の2社。日本企業の表向きの売上高は大きくないが、中核部品は相変わらず日本企業の供給によるもの。電子情報産業の1つ1つ統計を眺めると、一番部品の供給量が多いのが日本だとわかる。
  • 40年の開放改革で中日経済協力の分野にこそ変化はあったが、さらなる合作と発展を目指す方向性は不変。そこで、今回訪日した目的は、中日間友好協力のさらなる深化。日中経済協会にも是非引き続きの協力願いたい。

粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)について

( 6011KB)

英中併記による「粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)」の紹介冊子です。

以下、本冊子の主だった部分の日本語仮訳です。

概況
●粤港澳大湾区の建設推進は中国政府が確定した重大な国家戦略である。
●粤港澳大湾区(以下「大湾区」と略称する)は香港、マカオ特別行政区と広東省広州市・深圳市・珠海市・仏山市・恵州市・本莞市・中山市・江門市・肇慶市など珠江デルタの9地区市を含み、総面積は56,000平方キロメートル、8700万人を超える人口を有し、中国でもっとも開放度が高く、経済活力が最も旺盛な地域の一つである。
●2019年の建設開始以来、大湾区の経済総量は年を追って増加し、2024年のGDPは2兆ドルを超え、社会消費財小売総額は5777億ドルを超え、多くの企業が投資・事業を行い、市場開拓を行う重要なエリアとなっている。
●大湾区は珠江口とその周辺の広い海域を取り囲んでおり、中国と世界各国との貿易往来の要である。

内陸部と外部の接続:利便性と効率性を兼ね備えた交通ネットワーク
●7つの輸送空港を持ち、世界230以上の空港と連絡することができ、このうち、香港国際空港、広州白雲空港、深圳宝安空港が3大国際ターミナルとなっている。
●世界最大のベイエリア港湾群を持ち、世界の300以上の港とつながっており、年間貨物取扱量は18億5000万トンを超え、コンテナは8670万コンテナ、うち広州港・深圳港・香港港・東莞港・珠海港・江門港と仏山港の7港の貨物取扱量は億トンを超える。
●香港・マカオ・広州・深圳などの中心都市間は30分、その他の都市間は1時間で結ばれる。
●「レール上の大湾区」が加速度的に姿を現している。広深港高速鉄道に乗れば、広州南駅から香港・西九龍駅までわずか48分。「湾区版の巨大地下鉄」は広州、仏山、東莞、恵州、肇慶の5都市にまたがっている。
●河川・海峡をまたぐ交通ネットワークが形を成し始めている。港珠澳大橋、深中通道、黄茅海通道などの跨江・跨海ルートはすでに完成・開通し、獅子洋通道も建設が加速中で、これにより珠江河口の東西両岸の移動は一段と便利になった。2018年に港珠澳大橋が正式開通し、香港から車で珠海やマカオまでわずか30分ほどで到着できる。
●国境を越える高速旅客航路も四方へと伸びている。2023年には琶洲港澳客運ターミナルが正式に開業し、広州市中心部から船で約2時間で香港へ直行できるようになった。さらに、広東・香港・マカオ間のボート自由往来も加速して推進されている。
●広東・香港・マカオ3地の住民の往来はますます便利になっており、2023年1月に「マカオ車両の北上」、同年7月に“香港車両の北上”政策が実施されて以来、広東・香港・マカオ間の往来はさらに容易となり、越境車両の通行量が急速に増加している。

テクノロジーと産業:活気ある国際的なイノベーション・エコシステム
●粤港澳大湾区の国際科技創新中心は、中国三大イノベーション拠点の一つだ。世界知的所有権機関の「グローバル・イノベーション・インデックス」によると、「深圳-香港-広州」のテクノロジー・クラスターは5年連続で世界第2位にランクインしている。
●広深港科技イノベーション回廊と広珠澳科技イノベーション回廊という「2本の回廊」、深港河套と粤澳横琴という「2つの拠点」から成るテクノロジー・イノベーション軸が着実に形を整えつつある。
●大湾区は卓越した産業イノベーション力を備えており、これまでに国家級の製造業イノベーションセンターを6カ所、国家産業イノベーションセンターを3カ所整備している。
●大湾区は先進的なパイロットプラットフォーム体系の整備を強化しており、2025年までに省レベルのパイロットプラットフォームを30~50カ所整備し、全省をカバーする現代的パイロットプラットフォーム体系を概ね構築する計画である。
●2024年まで、大湾区には22社の世界500強企業、70社のユニコーン企業、7万社以上の国家級ハイテク企業があり、革新主体が集まり、革新の活力があふれている。
●産業の発展に必要なインフラが整っており、産業チェーンが完備されている。先進的な製造業の基盤が堅固であり、広東省は全ての31の製造業大分類を有し、約160種類の工業製品の生産量が全国第一位、電子情報製造業は33年連続で全国第一位である。
●産業の発展は質が高く、規模が大きい。大湾区にはでは、新世代の電子情報・現代軽工業繊維・先進材料・グリーン石油化学・現代農業と食品・スマート家電・ソフトウェアと情報サービス・自動車・新エネルギーなど、9つの1兆元を超える産業クラスターが形成されている。
●広東省は2024年、『未来産業の育成発展を加速させる行動案について』を公布し、未来ネットワーク・汎用スマート・生命と健康・低炭素エネルギー・先進材料・未来空間・量子科学技術などの重点分野の発展を加速させた。
●文遠知行は世界で唯一、中国国内と海外の両方でRobotaxiの商用運行を実現している自動運転テクノロジー企業である。
●亿航智能是全球首个型号合格证、标准适航证、生产许可证“三证”齐全的电动億航智能は、型式証明・標準耐空証明・生産許可証という「三証」をすべて取得した、世界初の電動垂直離着陸機メーカーである。
●優必選が開発した人型ロボットは、産業・サービス・教育などの幅広い分野で大きな応用可能性を示している。

投資の楽園:機会と包摂の土地
●大湾区は、世界でも屈指の開放度を誇る地域の一つであり、中国が高水準の対外開放をさらに拡大するための最前線でもある。
●中国が外資を呼び込む重要なエンジンとして、粤港澳大湾区は外資参入のハードルを継続的に引き下げ、世界中の企業や投資家に大きく門戸を開いている。
●2024年から、粤港澳大湾区では外資参入ネガティブリストがさらに短縮され、製造業における外資参入制限は「ゼロ」になった。
●電気通信・金融・研究開発・医療と技術サービスなどの新分野における外商投資試行の開放を積極的に支援する。
●近年、広東省は「外資10条」「外資安定12条」「投資誘致20条」といった政策に加え、新たな外資奨励策も打ち出し、外資企業に一連の優遇措置を提供している。
●新たな外資誘致奨励政策を実施し、所定の条件を満たして珠江デルタ6都市(広州・深圳・珠海・仏山・東莞・中山)に投資し、当年の実際外資額が5000万米ドル以上のプロジェクトに対し、高度製造業については新規実際外資額の3%、高度サービス業と一般製造業は2%、その他産業は1%の割合で奨励金を支給する。
●広東省は多国籍企業の地域本部を支援する政策も打ち出している。所定の条件を満たし多国籍企業地域本部に認定された外資系企業で、珠江デルタの6都市(広州・深圳・珠海・仏山・東莞・中山)に所在し、当年の実際外資額が1000万米ドル以上となった場合、一時金として500万元の奨励金を受け取ることができる。
●最高人民法院の批准を経て、2025年2月14日から深圳・珠海で登記設立された港澳投資企業は、商事紛争が発生した際、当事者の合意により香港法またはマカオ法を適用できるようになる。
●粤港澳大湾区の内地9都市で登記設立された港澳投資企業は、商事紛争が生じた際、当事者の合意により香港またはマカオを仲裁地として指定することができる。
●現在、粤港澳大湾区では、粤港澳連営弁護士事務所の設立や、香港籍の陪審員・調停員制度のパイロット運用などが実施されている。

クオリティ・ライフ:住むにも働くにも快適な住まい
●粤港澳大湾区では、基礎教育から高等教育に至るまで、国際化された教育エコシステムの整備が継続的に進められている。
●粤港澳大湾区には、幼稚園から高校までをカバーする国際化された教育環境を構築するため、国際カリキュラムを提供する学校が合計302校設置されている。
●世界で教育競争力が最も高いインターナショナルスクール50校の中に、香港の学校が27校、深圳が9校、広州が8校選出されている。
●QS世界大学ランキングにおいて、粤港澳大湾区からは5つの大学が世界トップ100に入っており、具体的には香港大学・香港中文大学・香港科技大学・香港理工大学・香港城市大学が選ばれている。
●ESIの分野別ランキングでは、中山大学・華南理工大学・深圳大学・マカオ大学・マカオ科技大学・香港大学などを含む30校以上の大学が、世界上位1%に入る学科を保有している。
●現在、粤港澳大湾区の内地都市では、香港の大学が4校、現地でキャンパスを運営している。
●粤港澳大湾区には質の高い医療資源が豊富に揃っており、国際水準のハイグレードな医療サービスを提供できる。
●香港の医療レベルは世界有数であり、香港市民の平均寿命は7年連続で世界第1位となったことがある。
●粤港澳大湾区の内地都市では、32カ所のハイレベル病院と複数の国家医学センターが建設されている。広東省全体では三甲医院が100院を超え、全国でもトップクラスの規模となっている。
●香港大学深圳医院は、中国本土の最高等級である「三甲」評価と、ACHSの国際認証という「二つの基準」を同時にクリア、国際的な運営・サービスモデルを採り入れることで、大湾区住民に対し、質の揃った国際水準の医療サービスを提供している。
●「港澳薬械通」政策を実施し、大湾区内地の指定医療機関において、臨床上の緊急ニーズがある香港・マカオで既に上市済みの医薬品や医療機器の使用を認可、これにより、国際的に先進的なイノベーション薬剤機器が迅速に臨床応用へと導入されるルートが開かれ、まずは大湾区での優先的な利用が促進される。
●「国家海外人材招聘計画」トップクラス人材、外国専門家プロジェクトの選出者、業界で公認されている世界ランキング上位200位以内の大学から招聘された外国籍の博士号取得者(在籍中のポスドクを含む)など、条件を満たすハイレベル人材が申請することができる。
●カード保持者は、住宅支援、子女の教育、医療、香港・マカオのビザ取得など、さまざまなサービスを享受することができる。
●大湾区で働く海外のハイレベル人材および不足している人材は、補助金を受けることができる。
●内地と香港の個人所得税の税負担の差額に基づいて補助金が支給され、この補助金には個人所得税が課されない。
●2024年7月より、大湾区では正式に非中国籍の香港・マカオ住民向けの内地往来通行証の受理が開始され、現在すでに6万人以上がこの通行証を使って通関している。
●大湾区は空が青く、土地が緑に覆われ、水が澄み、景色が美しい、中国で最も生物多様性が豊かな地域の一つで、現代都市と山や水、田園風景が調和して共存している。
●一年を通じて気候は温暖で湿潤、年間平均気温は約22℃、年間降水量は1600~2000ミリメートルである。
●中国初の国家級森林都市群として、大湾区の内地9都市の森林被覆率はすでに51.84%に達し、すべて国家森林城市の称号を獲得している。香港では緑地被覆率が70%に達している。
●大湾区は海洋資源が豊富で、海岸線は1600キロメートルを超え、水域面積は2万平方キロメートルを超え、マングローブ林、サンゴ礁、海草藻場などの代表的な沿岸湿地生態系が分布している。海洋生物の種類も多様で、たとえば伶仃洋海域のシナウスイロイルカやキバラコイ、香港海域のスナメリ、大亜湾のウミガメなどが生息している。
●大湾区は長い歴史を有し、東洋と西洋の文化が交錯・融合することで、包容力のある独自の特色が育まれており、ここは嶺南文化の発祥地であり伝承地であるだけでなく、中国と西洋文化の交流の重要な窓口でもあり、大湾区は豊かな歴史文化遺産と多様な民俗風習を有している。
●粤劇、龍舟、醒獅、武術,嶺南の無形文化遺産は、受け継がれながら新たな活力を発揮している。
●大湾区の食文化は、嶺南の伝統的な飲食文化と中西折衷の特色が融合し、独自の食のスタイルを形成している。

重点区域:広東、香港、マカオの深い統合のための主要な協力プラットフォーム
●中国政府は大湾区において、横琴粤澳深度合作区(以下「横琴」)、前海深港現代服務業合作区(以下「前海」)、広州南沙(以下「南沙」)、河套深港科創新合作区(以下「河套」)という4つの重要な協力プラットフォームの建設を進めている。
●この4つのプラットフォームは香港・マカオに隣接しており、非常に恵まれた立地優位性を備えている。また、非常に価値の高い支援政策も与えられている。
●横琴はマカオと川ひとつ隔てただけの近接地であり、科学技術の研究開発とハイエンド製造産業、中医薬をはじめとするマカオブランドの工業、文化・観光・会議展示・商業貿易産業、そして現代金融産業という「4つの新産業」の発展に重点を置いている。
●前海は深圳に位置し、香港とは海を隔てて向かい合っており、主に金融や法律などの現代的なサービス業の発展に重点を置き、香港との協力を積極的に推進している。また、香港経済が発展の空間を拡大できるよう支援している。
●南沙は大湾区の幾何学的中心に位置し、「広東・香港・マカオの全面的な協力」と「世界に向けた開放」という2つのキーワードを際立たせている。科学技術のイノベーションやハイテク産業の発展を推進することに力を入れ、香港・マカオと共にハイレベルな対外開放の門戸を共同で構築している。
●河套地区は、香港特別行政区の北部と深圳市の中南部が接する越境地域に位置しており、大湾区で現在唯一、科学技術イノベーションに特化した重要な協力プラットフォームで、世界レベルの研究拠点およびイノベーションプラットフォームの構築に力を注いでいる。

本件お問い合わせ

日中経済協会業務部(担当:澤津)
 TEL: 03-5545-3113
 naoya.sawazu[at]jc-web.or.jp ※[at]は@に変換ください。
TOPへ戻る