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【北京事務所発】福建省出張報告~今後の同省との協力に向けて

【北京事務所発】福建省出張報告~今後の同省との協力に向けて
   
1. 今回の福州出張の経緯

福建省・鄭暁松副省長より、福建省として日本との経済協力関係強化を望んでおり、日本企業の福建省への投資誘致を積極的に推進したいとの意向がある旨、在日本中国大使館を通じて当協会に協力要請があった。

これを受け、当協会北京事務所は篠田邦彦所長を福州市に派遣し、日中経済協会と福建省との間で、お互いに双方の状況を理解した上で、今後の協力の方向性について意見交換を行った。鄭副省長との会見では、協力に向けた今後の具体的な活動について話し合った(まとめ:北京事務所副所長 高見澤学)。
 
2. 福建省概況

福建省は中国の東南沿海部に位置し、北は浙江省、西は江西省、南は広東省に囲まれ、海を隔てて台湾省と接している。面積は12万4,000平方キロメートル(全国第23番目)、日本の約3分の1の広さである。海岸線は全国第2位(1位は広東省)の3,752キロメートル、地形的には海岸線からすぐに山間地となり、武夷山が江西省との境になっている。気候は地域によって多少の差はあるが、年間を通じて温暖な亜熱帯モンスーン気候で降雨量は比較的多い。
 
 
図表1 福建省の概況(2013年末現在)
 
(出所)『中国経済データハンドブック』2014年版より作成

図表2 福建省の主要経済指標(2013年実績)
   
(出所)『中国経済データハンドブック』2004年版、福建省及び広東省の2013年統計公報より作成

2013年末の常住人口は3,774万人(全国第16番目)、漢民族が98%を占める。ただ、多くの地域が山によって分断されているためか、それぞれの地域で伝統文化や風習が異なり、「閩語」と呼ばれる福建語は、地域によっては会話が困難なほどの違いをみせる。

東部沿海地域とはいえ、福建省は経済規模的に珠江デルタ、長江デルタ、環渤海地域等に比し、やや後れた印象を受ける。しかし、経済的基盤は備えており、一定の産業チェーンも確立されている。経済大省である隣の広東省と比較してみると、域内総生産(GDP)は福建省が2億1,760万元、広東省が6億2,164万元と、経済規模では圧倒的に小さいものの、一人当たりGDPでは福建省が5万7,856元、広東省が5万8,540元とほぼ肩を並べている(図表2)。また、2013年の経済成長率は全国が7.7%、広東省が8.5%であったのに対し、福建省は11%と依然として二桁を超える高い伸びをみせている(2012年11.4%)。

産業構造では、第1次産業の比率が広東省の4.9%に比べ福建省は8.9%と大きく、また第2次産業も広東省の47.3%に比べ、福建省は52%と比率が大きい。しかし、第3次産業は広東省の47.8%に比べ福建省が39.1%と小さい。このことから、福建省は第2次産業に依存した経済構造となっていることが分かる。今後は第3次産業の発展やハイテク産業の育成など、産業の高度化に政策の重点が置かれることは想像に難くない。

一方、対外経済の分野では、福建省は広東省に大きく引き離されている。2013年の福建省の輸出額は前年比6.2%増の943億ドル、輸入額は同4.9%増の602億ドルであったのに対し、広東省は輸入額が同15.1%増の7,320億ドル、輸出額が同14.7%増の5,497億ドルと、桁違いの差がある。福建省が広東省と同じ沿海部にあり、しかも台湾とも近いという好条件を有していながらも、これだけの差が生じる原因は、地形的に沿海都市の機能拡大に限界があることと、中国内陸部へのアクセスの不便さにあるものと思われる。福建省の今後の経済発展のカギは、地理的に不利な条件を克服し、港湾物流の拡大など効率的な物流網の構築にあるものと思われる。
 
3. 福建省・鄭暁松副省長との会見

(1) 会見概要


今年(2014年)8月18日、前日に福州入りをした日中経済協会北京事務所・篠田所長一行は、17:30から西湖大酒店において福建省人民政府・鄭暁松副省長と会見した。会見出席者は以下の通り。

〔福建省側出席者〕
         鄭暁松 福建省人民政府副省長
         王永礼 福建省人民政府副秘書長
         从 瀾 福建省環境保護庁巡視員
         王天明 福建省人民政府外事弁公室副主任
         呉 霏 福建省商務庁アジア処処長
〔日本側出席者〕
         篠田邦彦 日中経済協会北京事務所長
         高見澤学 日中経済協会北京事務所副所長
         邵 程亮 日中経済協会北京事務所項目主管
   
(2) 鄭副省長による福建省の紹介(〔〕内は協会側の発言)
 
  • 福建省の事業環境は、1) GDP、消費、輸出の伸び率や物価の安定度、2) 高速道路、高速鉄道等の物流インフラ、3) 電力輸出、港湾整備などの面で優れている。
 
  • 特に省として、1) 電子機器、2) 石油化学、3) 機械製造等の産業の振興を進めており、インセンティブを設けることにより外資系企業の誘致を行っている。
 
  • また、自然環境に優れ、PM2.5のような大気汚染もない。省に対する住民の帰属意識も高い。
 
  • 外国投資は年率7.1%の伸びで、累計970億ドルに達している。そのうち、日本からの投資は24億ドルと少ない水準。投資誘致に向けた情報発信が十分でない面もある。
 
  • 福建省は投資環境に優れており、今後、日系企業が投資を増やす好機にある。製造業のみならず、省エネ・環境、ヘルスケアなどの分野も有望。
 
  • 〔日系企業から指摘のあった投資環境の利点、1) 福建省が海外との交流に熱心、2) 賃金が相対的に安い、3) 職場の定着率が高い、4) 自然環境に恵まれている、5) 台湾企業との連携がしやすい、を紹介。また、日系企業から要望のあった、1) 日本人向けインフラの充実(医療、学校等)、2) 東京との直行便の再開について紹介。〕日本人学校は厦門にはあるが、福州は日本人の数が少ないため、現状では難しい。東京向けフライトは今後ニーズが高まれば運行は可能となる(注:2012年以降、旅客需要が低下して、東京とのフライトが運行停止になっている)。
 
  • 〔日中経済協会の主要な事業(訪中ミッション、省エネ環境フォーラム、大気汚染防止対策、新型都市化・高齢化事業への協力等)を説明、今後、協力関係強化を希望している旨を伝えた。〕
 
(3) 福建省との今後の協力に向けた意見交換(〔〕内は協会側の発言)
 
  • 福建省としては、2011年から13年までインフラ建設を急いで進め、さらに第二段階として台湾に近く、中国で5番目に大きな平潭島での総合実験区の開発を進めている。平潭島総合実験区は、福州空港から車で40分の距離の平潭島の324万㎢の土地に100億ドルを支出して道路、港湾、工業団地等のインフラを整備し、ハイテク、現代サービス、観光、海洋経済の4つの産業を中心に国内企業や外資の誘致を進める予定。法人税、関税、所得税等のインセンティブを設け、将来は上海の自由貿易試験区のような経済特区を構築していきたいと考えている。
 
  • 今回の訪問を契機として、可能であれば2014年内に、福建省に日系企業を連れてくる投資ミッションを実施してほしい。その際に平潭島総合実験区も回ってほしい。
 
  • 日中経協に重点分野として要望するのは、1) 大気汚染総合対策、2) 電子廃棄物総合利用、3) ハイエンド設備製造、4) バイオ医薬品、5) リチウム電池、6) 寧徳市機械設備産業団地である。(後述参照)
 
  • また、9月8日に商務部主催により厦門市で第18回中国国際投資貿易商談会が開催される予定。国家指導者(昨年は副総理級)の参加も見込まれ、中国が世界各国からの投資を誘致するプラットフォームとなる。参加者総数は5万人、うち外国人は1万人程度である。投資セミナーに是非とも参加してほしい。商談会では、参加企業のプレゼンやマッチングなど福建省政府として支援する予定。また、参加企業の技術をパンフレットに掲載する予定。
 
  • 日本からは2~3社参加すると聞いている。特に福建省、長崎県の環境技術担当者の人材・技術交流を予定している。日本からは汚泥処理に関する展示があるようだが、今回、日中経協からもらった大気汚染総合対策のパンフレットに記載のあるような多くの技術を必要としている。
 
  • 9月8日午後に環境産業商談会が予定されているので、小さな代表団でもいいので、日本からも環境分野の技術者を福建省に派遣してほしい。〔日中経済協会のホームページや会員向けメルマガ等で通知することは可能、開催案内の早急なる送付を要望。また、毎年、投資商談会に参加している日中投資促進機構と要相談の旨伝えた。〕
 
  • 先般、在広州総領事館の伊藤総領事が福州を訪問したが、アンケート結果によれば、福建省に進出した日系企業の45%は投資を現状維持し、半数は今後拡大したいとのことだった。福建省として、日本企業の投資をバックアップする用意がある。
 
  • 〔日系企業の投資ミッションを派遣する前にまずは、福建省政府・企業が東京や北京を訪問し、福建省への投資促進のPRを提案。〕例えば、福建省の政府・企業の代表団が北京を訪問し、日中企業間のマッチングを進めてみてはどうか。そのために、福建省の企業・技術リストを日本側に手交したい。今後の福建省と日中経済協会の交流拡大のための考えを総括してもらいたい。〔1) 今回の福建省訪問の会員向けメルマガ・ホームページ掲載による情報共有、2) 福建省の政府・企業による東京/北京での投資セミナー・マッチングの開催、3) 日系企業を集めた投資ミッションの福建省への派遣等の取組を段階的に進めていくことを検討したい。〕
 
  • また、岡本理事長にも福建省を訪問してもらい、福建省政府、平潭島総合実験区、日系企業などを回って自分の目で確かめてほしい。
 
  • 〔対日感情、知的財産権、労働力の入手可能性など日系企業の投資環境について質問。〕過去の歴史について憎しみなど感情がないわけではないが、中国の中では対日感情がいい地域だと思う。知的財産権の侵害を防ぐため、福建省政府として対策をとるようにしている。労働力については、最近、人手不足となる傾向にあるが、企業として給料を上げて人材を確保し、ハイテク技術革新により省力化を図るなどの工夫をしている。
 
  • 〔「中国経済と日本企業2014年白書」を手交し、特に中国の地方経済を扱っている最後の章の南部地域(広東省、福建省)の部分の記述に目を通してもらいたい旨要請。〕
 
4.福州市における日系企業動向

福建省に進出している日系企業は主に福州市及び厦門市とその近郊に集中しており、福州日本商工会会員企業は70社、厦門日本商工倶楽部会員企業は約180社である。福州市では、日系企業は自動車部品製造業などを中心に、金山工業区、青口投資区や青口東南汽車城、馬尾地区に進出している。また、厦門市では、電子部品製造業が中心で、周辺の泉州市や漳州市には自動車部品や食品製造業などが進出している(中国日本商会『中国経済と日本企業2014年白書』P336)。

福建省は以前から台湾との経済交流が盛んなため、台湾進出の日系企業が経湾企業、福建省企業とJ/Vを組んで進出する「日台中ビジネス連携モデル」が多くみられている。もちろん、そうでない企業も少なくないが、中国人として同じ商習慣を有している台湾企業の協力を得られることは大きなメリットであると考える。

福州市に進出している日系企業関係者の話では、福建省は他の東部沿海地域に比べると経済発展は後れているが、その分経済成長の速度が速く、伸びる余地は大きいという。最近では中国企業が低コストを武器にローエンド製品で競争力を強めていることから、日系企業ではハイエンド製品を中心に生産を拡大、販売ルートを開拓しているとのことだ。福建省自体、海に面していることから海外との交流に熱心で、他の東部沿海地域に比べ賃金が安く、内陸部からの出稼ぎが少なく労働者の定着率が高いといったメリットがある。また、自然環境に恵まれ、最近では高速道路や鉄道も建設され、物流面でも大分便利になってきている。
 
5.福建省商務庁推薦の重点誘致プロジェクト

福建省商務庁から、日中経済協会に対して書面による誘致推薦する重点プロジェクトの紹介が寄せられた。重点プロジェクトは下記の通り。

窯業排煙・煤塵総合処理プロジェクト
   
概要 大気汚染専用処理技術を有する企業の重点的誘致
住所 福州市閩清県
内容 閩清県の大気汚染総合整備処理を推進し、主要汚染物質排出削減の指標任務を達成し、大気の質のさらなる改善のために、専門の処理技術が必要で、閩清の窯業企業の排煙・煤塵及びかまどの黒煙に対して有効な処理を行わなければならない。処理企業が技術的プランを提供し、完成された排煙・煤塵総合処理設備を設計、製造し、排煙・煤塵が関連の排出基準の要求を満たすよう保証する必要がある。先ずモデル企業に対して実施するには、処理資金の企業による自己調達、政府から支援、省・市からの補助など多方面を通じて解決することができる。年度内にモデル企業の処理を完成させ、併せて逐次普及させる。
   
電子廃棄物総合利用プロジェクト

   
概要 電子プリント基板工場の汚泥、エッチング食刻法廃液、基板廃材等の専門的処理技術型企業の重点的誘致、または当該技術導入による莆田市海榕環保有限公司との合弁
住所 莆田ハイテク産業園
内容 電子廃棄物は、プリント基板生産及び電子製品製造等企業の生産過程で生じる固形、半固形、液体等多種にわたる物理形態の一類工業危険廃棄物で、主に銅、スズ、クロム、亜鉛等の有害重金属が含まれている。電子廃棄物は、環境や人体・健康に対する弊害が生じることから人々の高い関心を呼び起こし、国内外で共通に認識されている重大環境汚染源の一つである。しかし、その金属含有量の純度は往々にして金属分が豊富な鉱石よりも高く、一種の安価な二次的再生可能な資源でもある。莆田市の電子廃棄物は毎年1,000~2,000トンに達し、その総量は比較的多い。当該プロジェクトの導入は電子廃液、廃棄残渣等に対する無害化処理を適切に行い、重金属廃棄物の環境への影響を取り除き、地域経済の良好な発展のために有利な条件を創造することになる。
   
先端設備製造プロジェクト
   
概要 先端的自動車部品、内装部品、自動車用強化鋼部品、新素材等の先端機械設備企業の重点的誘致
住所 三明ハイテク産業開発区金沙園
内容 三明ハイテク産業開発区金沙園には、現在機械及び関連部品企業40社余りが入園している。園区の既存の産業的基礎を活用し、機械科学研究総院海西(福建)分院が主導的役割を担い、機械科学研究分院の「一つの研究所、一つの園区、一つのプラットフォーム、一つの孵化器(創出の場)」の発展モデルによって、研究開発、サービス、孵化(創出)、生産等多くの機能を集中させ、一体化した先端設備製造産業園を建設する予定である。
   
バイオ医薬プロジェクト
   
概要 バイオ診断試薬生産企業、自然動植物抽出企業、保健製品及びワクチン生産企業等の重点的誘致
住所 武夷ハイテク園区バイオ医薬産業園
内容 武夷ハイテク園区バイオ医薬産業園の計画面積は約1,812ムー(約1.2㎢)で、現在、主に漢方薬材料、保健製品、天然香料・混合物、飼料オーレオマイシン、化学調味料、バイオ肥料、農薬分解剤等を製造している。閩北地域の生態条件には優位性があり、域内には武夷山蛇類科学飼育基地、建陽のドクダミ・山芋、建甌のサジオモダカ・建蓮(ハスの実)、松渓のカラホオ等の植物系漢方薬材料モデル基地、及びイチイ(紅豆杉)・山芋・葛根・ハマズゲ(雷公藤)の4大漢方薬材料の優良種繁殖モデル基地を備え、年間の漢方薬材料の作付面積は10万ムー(66.6㎢)を超え、入居企業のために豊富で多様な漢方薬材資源を提供することができる。
   
モーター用リチウム電池応用製品プロジェクト
   
概要 リチウム電池産業に関連し、電池材料、電動自転車、太陽光発電による街灯、インターネット取引等新エネルギー・ハイテクリチウム電池汎用製品を生産する上流・下流企業の誘致
住所 武夷新区武夷ハイテク園区内(新嶺)
内容 モーター用リチウム電池分野では、パナソニック、三洋、ソニー、NEC、日立、東芝、TDKENAX等いずれの日本企業も世界トップクラスである。武夷新区新嶺ではリチウム電池産業園を開設し、実施している金伯夷モーター用リチウム電池プロジェクトの基礎の上に、リチウム電池汎用製品の上流・下流企業をさらに誘致すれば、福建金伯夷プロジェクトとの産業集積の発展態勢を形成することが可能となる。
   
寧徳市機械設備産業園区プロジェクト
   
概要 強力ランマー、高層用コンクリート輸送機、コンクリートミキサー、都市環境保護機器及び海洋エンジニアリング設備製造等の企業の重点的誘致
住所 海西寧徳工業区臨海工業園区
内容 海西寧徳工業区は環三都澳地域東北部渓南半島にあり、南北を貫く瀋海高速道路と温福鉄道に隣接し、寧徳港渓南、関厝埕の二つの港湾作業区に分布している。10.33キロメートルにわたる深水埠頭、地理的独自性、港湾としての良好な条件や広範な後背地、適切な水文気象条件、豊富な各種資源、強大な環境受容力、明確な優位性等があり、海西先進製造業基地及び東南沿海港湾中枢としての重点地域を建設する計画である。
   
【連絡先】
         担当者:孫建江(福建省商務庁アジア処副処長)
         TEL:+86-591-87270146、+86-18505918277
         FAX:+86-591-83226373
         e-mail:sjj01018@163.com
         住所:〒350003 中国福建省福州市五四路158号 環球広場2階

【本件お問い合わせ】
        日中経済協会北京事務所 TEL: +86-10-6513-9880
        日中経済協会企画調査部 TEL: 03-5511-2513
      (掲載日:2014年8月)     
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